28. 次の機会 (1)
転移すると、一瞬、ぐらつくんだな。これからも、転移する時は目は閉じておいた方が良さそうだ。転移した先は例のドアの前で、こいつが解放の扉っていう代物なのは間違いない。
で、だ。
「なんでお前らがここにいる」
「お見送りです」
「ついてきましたわ。なんとなく」
「姫さまにお仕えしておりますので」
副団長は無言で頷いている。その、手に持った首を自分で動かす首芸やめてくれ。
「……このまま、俺の部屋に入ろうとしたりはしないよな」
「しませんよ?」
その笑顔怪しいな。
「行きませんの?」
「駄目です、お二方。鵜川さまにご迷惑です」
ついてくる気だったか、ツチヨ。早く帰ろう。
「じゃあな」
鍵穴に鍵を差し、回す。開いた手応えがあった。開いたら、違うところにつながってたりは、しないな。俺の部屋だ。間違いない。
「鵜川さん」
「なんだよ」
「次の機会、あるんですよね」
覚えていたか。
「ああ。二言はない。新規のシナリオ準備するから待ってろ」
「やったー」
「何の話ですの?」
「また、TRPGのゲームマスターを鵜川さんがしてくれるんです」
「そんな話知りませんわ」
帰ろう。
「プレイヤーは、ヤミコとメイコさん含めて六人までな」
「私も参加しますわ! 副団長さんはどうしますの」
「素敵なお話ですが、今回はご辞退させていただきます」
お、しゃべった。
「人選はそっちに任せるよ。例の本が手に入ったら連絡する」
「はい。私も、用件がある時は玄関から伺いますので」
「分かった。ドア、閉めるぞ」
「ではではー」
「姫さま、例の本というのは――」
よし。閉めた。鍵もかけておこう。
「これでよし。鍵はそのへんに置いておくか」
持ち歩きたくはないしな。
「飯でも食いながら、シナリオのネタでも考えるか」
ヤミコは、月夜を続けて使うだろう。メイコさんとツチヨと、あと三人か。新規の面子にはキャラを作ってもらうとして。
「ルールブックは、俺のとヤミコので二冊か。足りないよなぁ」
ルールブックは一人一冊あった方が絶対にいい。
「一巻を買い足しておくか」
メイコさん含め、ヤミコ以外に配ってもいいな。受け取る受け取らないは、向こうに任せよう。無理に押し付けるのは、良くない。さて。
「これ食うか」
定番のカレー味。マヨネーズとタバスコを少し足すとさらにうまい。と、俺は思っているが、ガキの頃からのTRPG仲間からの賛同は、得られなかった。




