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27. 女神その2 (2)

「わたくしも、名前をいただきたいです」

「素敵です」


 侍女長が素敵ですマシーンになり始めたぞ。二人が一歩、間合いを詰めてきた。


「その鍵に、通話機能を付けちゃえばいいんじゃないですか」

「それですわ」

「そうしましょう」


 話が面倒なことになってきた。


「俺は別に、かまわんが。軽々しく、呼び名を付けていいのかどうかが分からん」

「大丈夫ですわ」

「根拠は」

「わたくし、この世界の女神ですもの」


 それを言われたら、俺としてはどうしようもない。


「職権乱用にならんのか」

「なりませんわ」


 本当か?


「侍女長さんは? 女神二人は、まぁ、いいとして、この人は立場的にどうなんだよ」

「大丈夫です。侍女長さんは、闇の精霊の女王さんなんで」


 ……闇の精霊の女王?


「お前みたいなぽんこつ女神に、なんでそんな優秀そうな人が付いてるんだ」

「ぽんこつ女神とはなんですか!」

「シンインの指輪を地球世界に忘れた女神は、ぽんこつだと思いますわ」


 シンイン? もしかして、神印か?

 やばそうな名前がついてるな。触って大丈夫だったのか?


「なんだとー!」

「お鎮まりを。お二方とも」

「……あい」

「……ごめんなさいですわ」


 怒られたな。


「侍女長さんは、私が付けた指輪を使ってお話できるようにします。こっちの子供女神ちゃんは」

「子供じゃありませんわ」

「かわいこ女神ちゃんは」

「照れますわ」


 ……面倒くせえ。


「帰っていいか。この鍵で例のドアの前まで戻れるんだろ?」

「使い方、知らないですよね」


 確かに。


「早くしてくれ。腹減ってるんだ」

「こっちで何か食べていきます?」

「俺は今、カップラーメンが無性に喰いたいんだ。遠慮する」

「神々の宴ですよ?」

「いいから早くしろ。話が前に進まん」

「ですね」

「ですわ」


 えーと、とヤミコが言った。


「侍女長さんと連絡する時は、私がつけた指輪に指を入れて、侍女長さんの呼び名ネームで呼びかけてあげてください」


 呼び名ネームってなんだよ。


「わたくしは?」

「自分でその鍵に指輪付けてくださいよ」

「それもそうですわね」


 土の女神が俺の方に両手を差し出した。指先が、くいくいしてる。


「ほら」

「お借りします。私のは、黄色い石にしますわ。えい」


 土の女神が鍵を両手で挟んだ。


「できましたわ。さぁ、呼び名ネームを」


 呼び名ネームが気になるが。翻訳魔法とやらのバグじゃないよな。


「わくわくしますわ」


 どうすっかな。土の女神だろ。ツチは入るよな。ツチコだとヤミコとかぶるか。


「ツチヨで。土の女神だから女だろう。だったらツチオじゃなくてツチコだが、ヤミコとかぶるのもなんか嫌だし、だからツチヨで」

「ツチヨ。まぁ、いいですわ。わたくしはツチヨです。ちょこん」


 嫌ってなんですか! と騒いでいるヤミコは無視して、土の女神改めツチヨが、自分でつけた指輪をつついた。


「これでオッケーですわ。私が付けた指輪に指を入れて呼び名ネームをお呼びいただければ、この世界でも地球世界でも自由自在に私とお話できますわ」

「ツチヨちゃん、鍵貸して」

「どうぞ、ヤミコ」

「呼び捨て?」

「私の方が先輩ですわ」

「たいして変わらないじゃないですか。活動歴」


 早くしてくんねぇかな。


「侍女長さんに呼び名ネームを。鵜川さん」


 ものすごく優雅に、侍女長にお辞儀された。この人、闇の精霊の女王だったんだな。


「そうだな……」


 見た目はメイドだ。

 メイドか。


「メイコさんで」

「素敵です」


 喜んでくれたっぽい。


「なんか」

「ちゃんとしてますわ」


 ヤミコが指先で黒い石の付いた指輪を弾いた。


「これで、オッケーです」

「帰り方を教えろ」

「えーとですね」


 ヤミコから鍵を受け取る。


「私の指輪に指を入れて、転移、と言ったあと、審判の間って続けると、ここに。解放の扉、と続けますと、あのドアの前に出ます」


 待て。


「解放の扉ってなんだ」

「鵜川さんは気にしなくても大丈夫です」

「さすがに気にするぞ。そんな物騒な名前のもんが自分の部屋にあったら」

「大丈夫です。私は女神です」

「信用できない」

「そこは、信用していただいて。じゃないと転移機能、消しますよ」

「そろそろお前は、上司に本格的な説教をされた方がいい時期かもな」

「もう、されたので」

「ほっぺをぐいぐい、お母さまに引っ張られてましたわ」

「痛そうでした」

「千切れるかと思いましたよ、本当に」


 帰ろう。付き合いきれん。


「じゃあな」


 ヤミコの指輪に指を入れて。目、閉じとくか。


「転移、解放の扉」


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