表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/128

25. 城? (1)

「……これ、城か?」

「そうですよ?」


 だからなんでちょっとキレ気味なんだよ。


「小屋の間違いじゃなくて?」

「あそこは玄関なんですー、本殿は別にあって、ちゃんと広いんですー」

「じゃあ、城じゃないよな」

「……ぐぬぬ」


 素材が何なのかまでは分からないが、黒い小さな一軒家というか、小屋がある。田舎の家の庭先にある、物置に近い。


「本来のお城は、姫さまのお力で隠されておりますので」

「あー。そういうことか」

「さようでございます」


 侍女長とヤミコの幻影に連れられて、小屋……の前に到着した。入口らしきものはない。


「私、消えますね。あとでお会いしましょう、鵜川さん」

「ああ」


 手を振り消えていったヤミコを見送る侍女長が、微かな溜息をついた。なんつうか。あいつの下で仕事するの、大変だろうな。お、足元に魔法陣出したぞ。


「鵜川さま、こちらへ。姫さまが鵜川さまをお通しできるよう、結界をゆるめてくださっていますので」


 二重に描かれている魔法陣が、外側と内側で互い違いの方向に回転し始めている。見てもよくは分からないが、とりあえず、すごそうだ。複雑なものらしい、ということは素人目でも分かる。


「これに踏み込んでいいんだよな?」

「どうぞ、そのままこちらへ」


 入ってみた。身体に変化が起きたり、といったことはない。


「目を閉じていただいた方がいいかもしれません」

「転移酔い、みたいなやつか」

「はい。この世界の者でも、慣れないと嘔吐します」

「……それ、この方法に根本的な欠陥があるんじゃ――」

「跳びます、目を閉じて!」


 ……魔法陣を展開するのは侍女長の役割で、転移のトリガーはヤミコが引いてるのかもしれん。そんな気がする。


 目を閉じて一秒も経たないうちに身体がぐらついてきた。俺の肩を、侍女長が支えてくれている。冷たい手の女だな。肩越しでもそれが分かる。


「到着いたしました。目を開けても大丈夫ですよ」


 特に、転移した、という実感はなかった。目を開くと、見えたのは黒い壁だった。


「ここは?」

「先ほどの建物の中です」

「大広間に転移したりとかじゃないんだな」

「ええ。地球世界で言うところの、エレベーター、ですね。姫さま、お願いします」


――いきますよー。鵜川さん、壁の手すりを掴んでおいたほうがいいですよー。


 手すり? ああ、これか……なんだ!?


――上にまいりまーす。


 楽しそうだな。お、動き始めた。上方向への加速がかかってる――。


「……すげぇな」


 壁が全て透明になり、光る草の平原が全周囲に広がった。見渡す限り、何もない。そして、見える範囲に限界がない。地平線がない。ただ無限に、光の平原が広がっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ