24. 異世界 (1)
「この草、触っても大丈夫なのか」
どうにも、十代の頃にやったTRPGで、ろくでもないダンジョンに潜ってばかりいたからなのか、自分でも警戒心が過剰だと思う時がないでもない。
「大丈夫ですよ。鵜川さんなら」
「信じていいんだな?」
「いちおう、私、この世界の女神ですから。嘘はつきません」
いちおうって言葉が引っかかるが、俺の隣りを歩くヤミコの幻影がそう言うんなら、大丈夫なんだろう。
「鵜川さま以外の地球の方々が触れてしまうと、身体が爆ぜてしまいますね」
俺とヤミコを先導している侍女長が振り返りながら、物騒なことを言った。
「爆ぜるってなんだよ」
「どかーん、です。鵜川さん」
楽しそうにそういうことを言うな。
「姫さま。もう少し、女神さまとしてのご威厳のあるご行動を、なさいますよう」
「……すいません」
両手を高く上げて、爆発を表現していたらしいヤミコが、手を下した。
こいつ、基本、こういうやつなんだな。
まぁ、話題を変えてやるか。気になっていることもある。
「お前の城に向かってるんだよな?」
「そうですよ?」
なんでキレ気味なんだよ。
「どれぐらいかかるんだ? けっこう、歩いてるよな」
今は、侍女長が来た道を逆走している状態だ。俺の部屋につながっているドアは、既に見えない。
「転移で来てもらってもいいんですけど、そうすると、多分、鵜川さんの身体が千切れてしまうので」
「それはやめてくれ」
「元に戻すことは可能でございます」
「やめてくれ」
歩くしかないのか。普通に歩くよりも早く動けているような気はするんだが、周りに対象物がないから、どの程度、進んでいるのかというのが全く分からない。ドアは気づいたら見えなくなっていた。
「今、地球の感覚で言うと、ちょうど、地球を半周したぐらいですね。あと半分です」
どういう速さで俺たち歩いてるんだ。
「鵜川さんに持ってきていただいた指輪経由で、バリアーを張ってますから大丈夫です」
「そうか」
そういうものだと思って、受け入れるしかないな。




