22. 決戦 (6)
┌───────────────────
月夜:振りますね。――4、なので、えーと、物理攻撃力が+3、小刀の物理威力が+2、戦勝札で+2、十字斬りなので、補助武器の物理威力も足すんでした。+2だから、全部で13、ですけど。
GM:そのダメージで確定か?
月夜:いえ。切り札を使って、4を6にします! で、いいんですよね?
GM:ああ。切り札の使用欄、というところに、斜線入れるなりなんなりして、チェックを入れておいてくれ。
┌───────────────────
月夜:はい。えーと。6が出たので、必殺効果ですよね。
GM:そうだ。主武器のやつな。
月夜:小刀で、ダメージに+6です。サイコロは6だから、12足す9。21です!
└───────────────────
累積は、これで39か。
┌───────────────────
GM:月夜の十字斬りで、牛鬼は倒れた。お前の勝ちだ。
月夜:やったーーーーっ!
└───────────────────
ちょっと、手加減しすぎたか?
いや、最初のチュートリアル・セッションは、これぐらいがちょうどいいよな。楽しいと思ってもらうのが大事だ。
┌───────────────────
GM:牛鬼が倒れ、みるみるうちに身体が腐敗し、やがて骨だけになった。その骨も陽射しを浴びれば灰になって、風に散る。
└───────────────────
魑魅魍魎の骨が妖刀の素材になってるっていう設定があったような気がするが、今はそういうのはいいか。
┌───────────────────
月夜:太郎ちゃんは。
GM:社の戸の上側が網目状になっていることにするか。中から外は見えていたから、出ていくかどうか太郎が迷っているうちに、両親が駆け寄り、太郎も出てくる。あとはまあ、なんだ、感動の再会だ。
月夜:良かった……。
GM:そして父親から拳骨を頭に落とされる。
月夜:あれ。
GM:母親は抱きしめてるけどな。そして、涙目の太郎も含め、月夜に家族全員で礼を言う。
月夜:いえ、もう、そんなそんな。
GM:太郎たちと一緒に、村に戻る、でいいか?
月夜:はい。
GM:月夜たちは村に戻った。太郎の無事に村長を始め、大人たちはみな、安堵する。一方で、放置されていた社のことを太郎の父親が村長に報告したりもしているな。
月夜:ふむふむ。
GM:村の方で社の手入れは改めて、する、という話になった。これで牛鬼みたいな魑魅魍魎が村の近くに現れることは、なくなるだろう。
月夜:よかったー。
└───────────────────
で、報酬の話か。
┌───────────────────
GM:ルールブックを読み込んでるみたいだから、大雑把に説明するが、このあと、村長から何がしかの報酬はもらうことになる。ただ、その内容は月夜が自分で決めていい。
└───────────────────
レベルが1から2に上がるだけの経験点が1000点か。それに見合った報酬金額が、2000銭だったっけな。
ルールブックの巻末にまとめが……あってるな。
┌───────────────────
GM:村から金をもらった、という理解の仕方でもいいし、次の出来事までの間に色々あって手に入れた、という解釈でもいい。
└───────────────────
「お前、報酬は要りません! っていうタイプだよな」
「ですね。よく分かりましたね」
「女神なんだろ?」
「女神でも、お金が欲しい時はあります」
「そうか」
「そうです」
女神ってのは、職業みたいなもんなのか?
まぁいいか。
┌───────────────────
GM:報酬金額は2000銭だ。翌日の朝、村人総出で見送られ、月夜は旅の続きを始める。といった感じで、おしまいだ。
└───────────────────
「はーーーーーー、けっこう、疲れますね」
「集中すると、疲れるよな。その飴でも舐めてくれ」
「いただきます」
喉が渇いた。
「鵜川さん」
「なんだよ」
「ありがとうございました」
ヤミコがそう言って、頭を下げた。
「ものすごく、楽しかったです!」
身を乗り出してくるな。
「落ち着け」
「でも、楽しかったんです! ゲームマスターをしていただいて、ありがとうございました!」
いや、あのな。
「GMだって楽しいからな。していただいて、なんて言わなくていいぞ」
どちらかというと、俺はGMの方が楽しいとまで思ってるし、プレイヤーしかやったことのないってやつがもし、いるんなら、非常にもったいないとも思っている。
目の前で、自分が考えたストーリーに一喜一憂したり、戦闘でハプニングが起こってのけ反ったりするのを見るのは、GM冥利に尽きるし、普通に楽しい。
「あのー、でも、ありがとうございました」
「俺も楽しかったよ。久しぶりのTRPGだったしさ。もう少し、手の込んだシナリオをやれたらよかったんだが」
「十分、楽しかったです」
そうか?
「なら、よかった」
お茶でも飲むか。しゃべりっぱなしだったからな。
「あー。なんか疲れたな」
そして、急に眠くなってきた。
「鵜川さん、ねむねむですか?」
「なんだよ、その言い方は。俺は幼児か」
そこからの記憶は曖昧だ。ヤミコが時計を見て、急がないと、と言いながら、異世界ドアみたいなのから出ていったのは覚えているし、俺が開けたのまではどうにか、覚えているが、俺はそのまま、シャワーも浴びず、着替えもせずにリビングのソファーで寝落ちして、目が覚めたら昼前だった。




