18. 戦いの準備へ (1)
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GM:月夜がいる場所は、まだ村人が誰もやってきていない場所なんだが、少しぬかるんでいて、小さな足跡が残っているのが分かる。
月夜:ぬかるんでいる?
GM:そこは気にしなくていい。ようは、足跡がある、という情報が重要だ。まぁ、難易度的な話をすると、誰でも気づくから、村人もこちらに回ってくれば気づくだろう。
月夜:なるほど。ということは。太郎ちゃんは、村の外に出た?
GM:そう考えるのが妥当な方向に、足跡がついている。
月夜:追いかけます。あ。
GM:どうした?
月夜:村の人たちに、このことを伝えてから追いかけます。
GM:いいだろう。村人たちの何人かはそれを聞いて駆け出すが、準備が先だという村長の声が彼らの動きを止める。
月夜:準備?
GM:夜になると、ちょろちょろ化け物が出たりする世界だからな。子供を探しに行って共倒れ、ということが、まぁ、よく起きる世界でもあるんじゃないか。
月夜:……私が先に行きますから、皆さんは、しっかり準備してから来てください。
GM:太郎の両親が月夜に礼を言う。「ありがとうございます、お侍さま」
月夜:いえいえ。では、えーと、外に向かいますね。
GM:おう。
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で、おもむろに、戦闘用のマップを出すわけだ。
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月夜:え。
GM:ただの準備だよ。出た瞬間に戦闘、というわけじゃない。
月夜:ですよね。びっくりした。
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わざとだけどな。まぁ、この先に何があるのかを、こうやって暗に示すのも、GMとしてのテクニック……でもないか。ただ、こういうことをすると、たいていのプレイヤーは改めて緊張してくれる。警戒心が強くなるから、多用は禁物だが。
壁と床全て調べながらダンジョン進んだせいで、タイムアウトになって捕虜がキルされた、という展開を、俺は知っている。
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GM:日暮れどきで、季節は……夏にするか。聞こえていた蝉の声が空の色に合わせて微かになり、なんだ、なんか、違う虫の声に変わっていく。
月夜:急ぎます。
GM:足跡を月夜が追うと、森の入口に差し掛かった。で、まぁ、なんだ。餓鬼玉というのが一体いる。
月夜:がきだま。
GM:『戦国双刀伝』では、一番弱い化け物だ。餓鬼のなりそこない、みたいなイメージらしい。
月夜:ふむふむ。
GM:つうわけで!
月夜:はい!?
GM:戦闘だ。
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「……いきなり大声出さないでくださいよ」
「すまんすまん。俺なりに気合を入れたかったんだ。戦闘のルールは?」
「いちおう、頭には入っています……けど」
上目遣いでこっちを見るな。




