表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/102

1. 夜に思うこと (2)

 真っ暗な家の中に入り、靴の入っている棚の上にピザ屋の広告を投げ置いたら、自然と溜息が出た。明日は日曜だし、ゆっくり寝よう。昼まで寝て、飯は買い置きのカップラーメンがあるから、それでいい。


「冷蔵庫に、プリン入れとかないとな」


 駅前のコンビニに入り、思いつきで買った売れ残りのプリンが二つ、スナック菓子の袋が一つ、ぶら下げて帰ってきたコンビニ袋に入っている。リビングにある、テーブルの上に袋を置いてプリンを取り出し、冷蔵庫にしまった時には、眠気が最大に近い状態になっていた。


 このままだと、多分、風呂で寝る。まずは、着替えよう。ネクタイが鬱陶しい。


「さすがに」


 疲れた。二階の自分の部屋に向かうべく、ネクタイを緩めながら階段を上がっていく音が、重い。


 家を出る時に開けたままにしていた踊り場のカーテンを閉めながら、今日の月が満月だったことに、今更ながらに気づいた。


 疲れ過ぎだろ、俺。


 階段から左手に続く廊下の先に、薄い明かりが見える。俺の部屋のドアが、開いているようだった。閉めて家を出たはずだが、忘れていたらしい。今日は朝から、急な呼び出しだのなんだので、ばたばたしたもんな。満月にも気づかないはずだ。


「さてっと」


 さっさと着替えるか。そして風呂入って寝る……いや。


「部屋の電気、消してるよな、俺」


 なんだ、あの、薄っすらとした明かりは。時計か? あれ、光るし。暗い廊下から見たら、あんな感じに見えるのか。へー。


 新発見だ。


 そしてどうでもいい。


「着替える。風呂。寝る」


 昼まで寝て、飯。完璧な計画だ。


 着替える。風呂。寝る。


「昼まで寝て、飯」


 で。


「それを邪魔する、お前はなんだ?」


 部屋にある本棚が、微かに光りながら、倒れかけた状態で中身も込みで浮かんでいる。その本棚が本来あったはずの壁には、中途半端に開いた、装飾過剰なドア。


 そしてその前で、ファンタジーな服を着た女が、土下座をしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ