14. 名前 (1)
案の定、だったか。
「佐々木。宮本。織田。木下。毛利。えーと」
ルールブックには、戦国時代の有名大名の名前が載っているページがある。名字が決まらないなら、そこから選んだらどうだ、と言ってから、もう、二十分ぐらいたったのか。
「山本」
勘助か。
「上泉」
伊勢守信綱。マニアックなところいったな。
剣豪小説とか好きな人にとっては、最強に有名人だったりもするが。
「どうしましょう。決まりません。お茶、いただきます」
「好きなだけ飲んでくれ」
これは、こっちから何か、提案してやったほうが良さそうだな。
「別に、実在の名前にこだわらなくてもいいんだぞ。戦国ファンタジーみたいなもんだからさ」
「それは、わかっているんですけど、でも、初めてのキャラクターですし、きっと、ずっと名前を憶えているような気がするので」
まぁ。確かに。俺も、最初に作ったキャラの名前は、今でも覚えてる。
「二巻に、ランダムに名前を決めるのに使える表があるが、使ってみるか?」
「ランダム、というと、サイコロを振って決めるんですか」
「そうだ。悪ふざけに近い名前になる可能性が高いが、まぁ、参考程度に何回か振って、そこからヒントを得る、という手はある」
「なるほど。正式に採用しなくてもいい、ということですか」
「ああ。サイコロ振らずに、気に入ったものを自分で選ぶ、というのでもいい」
「ふむふむ」
ふむふむって、実際に言うやつ、いるんだな。
「振ってみたいです」
「分かった」
二巻の……確か、巻末か。
「d66っていって、最初に振った1d6を十の位、二度目に振った1d6を一の位に見立てて数字を出すんだが」
色分けしてあるサイコロで一度に振るやり方もある。
「一回目が5で、二回目が3だと、53、ですか?」
「そうだ」
この表か。……久しぶりに見たが。
ひどいな。
「過剰な期待はするなよ? 悪ふざけの表だからな。最初は名字だ」
「はい。では、いきます――4! と、――1!」
「41は、股引、だな」
「……そういう名字の方って、いらっしゃるんでしょうか」
「分からん。俺の戦国時代の知識の中には、見当たらない」
「……股引って、男性用の下着みたいなものですよね?」
「爺さんたちの防寒具、というイメージが強いな」
「……女子でいう、オーバーショーツみたいなものですか?」
「その、オーバーなんとかは、俺には分からない」
「下着の上に穿く下着、ですかね」
「そんなもんあるのか」
「ありますよ」
俺の地球知識を超えてきたな。女にとっては定番のものなのか。
……あまり、触らないほうがいいような気がする。
「次は、名前な。名前は、男女両方の名前の指定がある。キャラの性別は?」
「女の子です」
「オーケー。振ってくれ」
「行きます――1! からの――1!」




