12. キャラクター作成・3
次は、装備か。
「装備は、小刀二振りだよな」
「ですです。あと、鎧なんですけど」
鎧か。重鎧で、かつ、持ち金のことを考えると。
「竹甲冑しかないんですよね」
「まぁ、そうだな」
「竹製の鎧なんですかね?」
なんつうか。
「ネタ装備だけどな」
「そうなんですか?」
「重い鎧を着たくない、という人間は、戦場にはそれなりにいるよな」
「そうですね。重くて動けない、というのは、良くなさそうです」
だよな。
「つうことはさ。ある程度、走り回る前提だったら、竹甲冑を採用する侍は、多そうじゃないか? あと、安い、というのもあるが」
「確かに」
「竹だろ? 走ったら、からから音が鳴るよな。『戦国双刀伝』の、駆け出しの侍はみんな、竹甲冑着て、からから音させながら戦ってるっていう絵が浮かんでくるわけだよ。このデータから」
「……なかなかですね」
言葉を選んだな。
「まぁ、〈甲冑自在〉があれば物理回避のマイナス修正はなくなるし、防御力は、軽鎧の同程度の金額のものに比べると、そこそこ高い。悪くない買い物ではある」
絵面を気にしなければ、だが。
「そこまで、考えていませんでした」
「まぁ、こういう面白がり方もあるってだけだよ」
「なるほどです」
そう言って、ヤミコがメモ紙の方に、小刀×2、竹甲冑と縦に並べて書いた。その右側に、購入金額を書き込んでいく。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┃小刀 ×2 2000×2 円
┃竹甲冑 4000 円
┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「いや、単位は円じゃないぞ」
「銭って書くの、なんだか難しくて」
ゲーム内通過を全て円に統一してしまうってのは、ゲーマーあるあるではあるが。
「残り、2000円しかありません」
円で通す気らしい。
「何を買ったらいいのか、いまいち分からなくて」
「まぁ、頭用の防具と、装飾品が二枠、装備枠としては残っているが」
「鉢巻って、意味、ないですよね?」
鉢巻か。
「防御力はゼロだし、先制値にも物理回避にも修正は付かないが、常時効果が起動できれば、HPの上限に5点のボーナスが付く。まぁ、お前の場合は、もう、常時効果の起動枠使っちまってるからな」
「ですよね」
基本、このゲームは戦闘時の行動でHPの消費が発生するから、5点の差は序盤だとそれなりに効いてくる。
「鉢金というのだと、防御力が2点、増えるんですけど、回避が下がってしまうのが」
「そうだな……いや、待て」
鉢金は、エラッタが入った気がする。俺の持ってる『戦国双刀伝』は初版だが、第三刷から、エラッタが適用されたものに差し変わったんじゃなかったか。
「ちょっと、上に行ってくる。少し待っててくれ」
「はいっ」
俺の急な行動に驚いたのか、ヤミコの声のトーンが少し上がったが、まぁ、今はエラッタが先だな。
部屋に戻る途中、二階のカーテンを開けて月を見てみたが、そこまで位置は変わっていない。まだ、朝までは時間があるようだ。
「エラッタは、どこやったっけな」
どこかにまとめて置いてるはずなんだが。
多分、机の引き出しの一番下だな。印刷したものは全部、あそこに放り込んでいたはずだ。




