10. キャラクター作成・1 (2)
「あのー……どうでしょう?」
「いいんじゃないか」
正直、定石から外れている組み合わせしかないが、これはこれでいい。ヤミコがやりたいと思うキャラを使うのが、一番だ。今回は、プレイヤーはヤミコひとりだけだしな。
ほかにもプレイヤーがいるのであれば、幾つか、提案をすることにはなると思うが、今回は、そういうのは、なしだ。
「猫又の侍とかって、あのー、大丈夫なんでしょうか。猫又はどちらかというと、忍びと組み合わせるのが良さそうなのかな、と思ってはいるんですけど」
ちゃんと、分かってるのか。
「分かりやすい組み合わせってのは、もちろん、あるけどさ。お前がこのキャラで遊んでみたい、と思うのが、一番、大事だよ。そのほうが、楽しくなる予感がするだろ?」
「予感……」
「ああ。人に押し付けられたキャラを使うよりは、自分で考えたキャラを使うほうが、楽しいに決まってる。そのキャラが、ほかのプレイヤーに迷惑をかける場合は駄目だけどさ。でも、今回はお前ひとりだけだし、初めてのTRPGなんだ。やりたいようにやってもらっても、俺としては全然、かまわない」
で、だ。
「どれを使いたいんだ?」
「え、えぇーと……猫又ちゃんの、お侍さんが、実は、気にいってまして……」
「猫又侍か」
まぁ、一番上に書いてあるもんな。
「じゃあ、それにするか?」
「いいんですか?」
「もちろんだ。駄目なことなんか、一つもないよ」
「でしたら……はい、猫又ちゃんのお侍さんにします」
「オーケー」
これで、種族と職業は決まった。次は、特技か。
「じゃあ、特技を決めてくれ。ルールブックは、それ使ってくれ」
「分かりました……六冊あるんですけど、どうしたらいいんでしょうか」
二巻以降も、色々と追加データがあったりするが、急に選択肢を増やすのも、あれだな。
「一巻のデータだけにするか」
「はい……あのー」
「どうした」
「キャラクターシートに、種族と職業を書いてもいいんでしょう……か?」
「おぅ。遠慮しないで、書いてくれ。そのキャラシーは未来永劫、お前のものだ。好きにしてくれ」
「はい。……なんか、緊張します」
「ゲームなんだし、気軽にな」
「そうですよね」
真剣な顔をして、背筋を伸ばし、一文字一文字を丁寧に書いていくヤミコを見て、そこまで心を込めて書かなくてもいいぞ、という言葉を俺は飲み込んだ。
こういうのも、時間が経てば、思い出になるということを、俺は知っている。
「急がなくていいからな」
ヤミコが種族と職業をキャラシーに書き終えるまで、俺は待った。




