8. 準備開始 (2)
「割り箸ですか?」
「スナック菓子の類は、手が油で汚れるからさ。油まみれの手でダイスさわったりしたくないだろ?」
「割り箸で、お菓子を摘むんですか」
「そういうことだ。箸、使えるよな」
「大丈夫です」
基本、手が汚れないような菓子類を用意することのほうが多いが、パーティ開けしたスナック菓子の袋に、割り箸伸ばしてみんなで摘んだりするのは……俺の仲間内だけか、もしかして。
あとは、紙の箱を真ん中に。
「その箱は、いったい」
「ダイスを振る時はこの中に放り込んでくれ。テーブルだと跳ねてどっかにいく場合がある」
雀卓だと、そうでもないんだが、俺の家にそんなものはない。
「あのー」
「なんだよ」
「色々な、知恵と工夫があるんですね。快適に遊ぶための。コースターは、紙が濡れないようにするためですか?」
「そうだ」
濡れてへろへろになったキャラシーは、時間が経ってからみると割と悲しい気分になる。
他には……そうか、あれもあったな。
「お前、プリン好きか?」
「好きです」
答えるの早いな。
「帰ってくる時に、二個買ったんだけどさ。二個一人で食うのはさすがにあれだから、一個、任せていいか」
「いいんですか?」
「ああ」
「なんか、さすがに申し訳ないんですけど……」
「一人で二個は無理だ。頼むよ」
「……分かりました」
スプーンを二つ、店員が付けてくれてたよな。台所の上にあった。これだ。
「そこ、座ってていいぞ。準備はこっちでやるから」
「じゃあ、失礼します」
ようやく座ったか。ヤミコの真正面には、座らないほうが良さそうだな。父親の椅子を借りよう。
「プリン、食いながらでいいんで、少し、質問に答えてくれ」
俺がプリンにスプーンを刺すのを待ってから、ヤミコがプリンをようやく、口に運んだ。ここまで嬉しそうにプリン食うやつ、初めて見たかもしれん。
「キャラクター、どうする? サンプルのキャラを使うか、それとも、自分で作るか。俺としては、自作を推奨したいんだが」
「どうしてですか?」
不思議そうな顔をして、ヤミコが俺を見た。
「キャラクターを作るには、ルールの基本部分の理解が必要だ。数字の意味が分かってないと、サンプルのキャラも選びようがないだろ? だったら、キャラ作りながら、ルールを覚えていったほうが、手っ取り早い」
「なるほど」
「それに、自分でキャラ考えたほうが、楽しいだろ?」
そう言ったら、ヤミコが黙り込んだ。




