7. 黒の記憶 (1)
「お帰りなさい」
「おぅ、ただいま」
ん? ただいま?
いや、ここ、俺の部屋だよな。まぁ、戻ってきたわけだから、これはこれでいいのか。
「お前はもう、帰っていいぞ。俺はこれを片付けたら、風呂入って寝る」
「お片付け、お手伝いしますよ。ダンボール、重そうですし」
中身は紙の塊だからな。確かに。
「じゃあ、頼むよ」
ヤミコが浮かせたダンボール箱を、俺が押して位置を決め、置いてもらう。この作業を繰り返すこと数分で、一つを除き、残るダンボール箱全てが片付いた。
「それは、片付けなくてもいいんですか?」
ほかのダンボールには、箱か本という文字が書き殴ってあったが、これには何も書いていない。無論、中身は分かっている。
「こいつの中身は、俺が昔作ったシナリオとか、そういうのなんだが」
ヤミコが不思議そうな顔をして、俺を見た。
「なんか、懐かしくてな。明日は休みだし、取り出して眺めてみるのも悪くないかもなって、まぁ、思ったんだよ」
「面白そうですね」
「俺のガキの頃の、歴史だな」
「黒歴史ですか」
「どこでそういう言葉を覚えてくるんだよ」
「『戦国双刀伝』のリプレイに出てきたので、調べました」
「なるほどな」
で、だ。
「別に、ネガティブな過去ってわけでもねーぞ」
「中学生の頃の、あれな感じのことが書いてあったりするのでは」
そりゃ。
「するな」
「そういうの見て、ぬわー、とかならないんですか」
「なるぞ」
「なるんですね」
「まぁな」
でもさ。
「楽しかったんだよ。それはそれで。だから、別に、ネガティブに捉えるようなことでもないだろ?」
「……そう言われれば、そうなのかも」
中学の時は、学校の授業でもらったプリントの裏とかに、シナリオ書いてたな。国語の授業でやたらと漢字の小テストがあって、出す敵のデータとかを書いてたっけ。ルールブックのままじゃつまんないから、強くしたりしてな。
「あのー、後学のために、見せていただいたりとかは」
「いいぞ」
「いいんですか!?」




