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6. 呼び方 (2)

 弾くと同時に、小さなリングが持ち手に付いた。リングには、黒い石のはまった少し小さいリングがさらに付いている。知恵の輪みたいだな。


「えへへ。それで、この、黒い石の付いたリングに指を入れて、私を呼んで欲しいんです。そうしますと、私と直通で会話ができるようになりますから」

「お前のことを呼べばいいのか」

「なんですけど、そのー、私の呼び名を決めていただきたくて」


 呼び名か。


「闇の女神」

「それだと、あのー、一般的過ぎて駄目なんですよ。闇の女神と呼ばれる人は、私以外にも、他の世界にいますので」

「お前の世界に限定して、呼び出せるようにすればいいんじゃないのか」

「それは無理です」


 無理が多いな。


「地球世界と私の世界を、外世界中心経由でつないでいるので……あのー、なんていうんでしょう、インターネットで地球世界と私の世界がつながっているので、他の世界ともつながっている状態になってしまっているといいますか」

「二つの世界だけをつなぐのが無理なのか」

「ですね」


 面倒だな。


「まぁ、分かった」


 呼び名か。闇の女神だろ?


 闇で女神か。


「ヤミコで」

「ヤミコ」

「闇の、女神だろ? だったら、ヤミオじゃなくて、ヤミコだよな」

「……独特のセンスですね、鵜川さん」

「分かりやすいのが一番だろ。これなら忘れることもない」

「ヤミコ……うん、ヤミコでいいです。私はヤミコです。では、ヤミコで登録しますね」

「よろしく頼む」


 俺が頷くと、ヤミコが指で、黒い石の付いたリングを弾いた。


「はい、できました。この、石が付いたリングに指を入れて、ヤミコ、とお呼びください。私につながります。一度、試しておきます?」

「別にいいんじゃないか。お前、女神だろ? 失敗とかしてないよな」

「だと思います」


 頼りないな、おい。


「分かった。お前はここにいろ。俺は……そうだな、廊下の端から試してみるか」

「お待ちしてます」

「待っててくれ」


 なんか、奇妙なことになったっていうか、俺はいったい、何をやってるんだろうな。


 眠気は完全に飛んでる。階段前のカーテンを開いたら、月の位置が少しだけ動いていた。時間は流れているらしい。


 まぁいい。やるか。リングに指を入れて……どの指でもいいよな。人差し指がちょうどいい。


「ヤミコ」


 ――はい。ヤミコです。


 つながったな。


「これで成功でいいんだよな」


 ――そうですね。


「切る時はどうするんだ?」


 ――リングを外していただくと、すぐに切れます。


「分かった。じゃあ、切るぞ」


 ――はい。


 お、切れた。つながってる間は、石の中心に白い光が灯るのか。ゆっくりと消えていっているが。


「さてと」


 どうしたもんか。とりあえず、戻るか。


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