56. 天空の加護 (1)
「まず、鵜川さん」
やばい。名前をもう、覚えられてる。
「はい」
「あなたに非はない。どう考えても」
ですよね。
「闇の女神は、罰した。ただ、加護の話は聞いてない。それから」
ツチヨの真後ろに大地母神が瞬間移動した。
「土の女神の加護のことも聞いてない」
「ひっ!?」
「罰します」
ヤミコがやられたのは、これか。両方の頬をきつめにねじられている。痛そうだ。
ツチヨの、悲鳴が上がっているが、これはもう仕方がない。
「そして天空」
「はいっ」
ツチヨの頬をねじりながら、平坦な目でソラタロウを大地母神が見据えている。
「お前」
「はいっ」
「解放の扉については、仕方がない。鵜川さんへの干渉を地球の上位存在への同意なしに行ったのは、非常に、良くないが、他に方法はなかったものと考えられる」
「はいっ」
ツチヨが解放された。涙目のまま、両頬を押さえてうずくまっている。その隣りでは、ヤミコが自分の両頬を押さえて震えている。
「ただ」
ソラタロウの後方に瞬間移動。
「その干渉の結果、何が鵜川さんに起きているのかを、正しく伝えていないことについては、同じ、創世神の同僚として、非常に、憂うものである。説明を。鵜川さんに」
「はいっ」
さすがに、罰されはしないのか。
「鵜川くん」
「俺も、詳しいことを知りたいね」
「だよね。あのー、解放の扉は本来、君にしか閉じられなくてさ」
「おう」
「それを、まあ、君が閉め忘れたせいだけど、僕が閉めたわけだよ」
「事前の説明がなかったから、鵜川さんに非はない」
「そう、そうだよね。それでさ、その時に取った方法というのが、君の、その、鍵の力に対する干渉でね。それは、君自身に対する干渉と同じでさ」
「おう」
「地球の存在である君に、まあ、君から見ると異世界の、神である僕がさ。干渉するのはルール違反なわけだよ。でも、仕方がなかったからね? だから、今回は、地球側としても、いいよ、という話になってるわけさ」
で?
「正しく伝えられていない何かっつうのは、何だよ」
「あー、君には、僕の、最上位の神官に同等の加護がある。これは、繰り返すけど、仕方がないことなんだ」
「そうなんすか?」
大地母神さんに聞いておこう。
「それはそう。正しい」
「嘘は言わないよ。僕だって、創世神なんだし、そこは、ちゃんと、」
「でも、説明してなかった」
真後ろから平坦な声で囁かれるの、きついだろうな。
「それは本当にすいません。それでさ、鵜川くん。そのー、僕の加護は、地球世界でも有効なんだよね」
は?




