第7話 時空間魔法
初戦闘では危なげなく勝利したものの、このままではスライムより強い敵を相手にするときに手数が少なすぎる。
そんな現状を改善すべく、芋虫を食べてはこっそりと川で水を飲むという生活を送りながら、時空間魔法の練習をしていた。
Lvが上がり辛くなってきた……なんて思いながらも魔法を試行錯誤していたら、遅延付与と超短距離転移以外にも種類がそこそこ増えた。
まずは加速付与。
これは遅延の反対もできるんじゃないかと思って試したら、割とすぐに実現できた。
初めは芋虫に付与したが、ヒョコヒョコが倍速になってかなりきもかった。
試しに自分にも付与してみたら、芋虫の動きがゆっくりになって、間違えて芋虫に遅延を付与したのかと思った。
しかし、微かに聞こえる動物の鳴き声までゆっくりになっていたことから、周りが遅延したのではなく、自分が加速しているからだということに気づいた。
動きの速さではなく時間の速さが変化しているため、付与した対象の移動速度だけでなく、思考速度も加速しているようだ。
遅延も同じで対象の時間そのものを遅くしている。
芋虫を咥えて上から下に落とした瞬間に遅延を付与しても、落下速度は同じだったことから、外部からの影響はそのまま受けるようだ。
この2つは時空間魔法の「時」の魔法になる。
効果はシンプルだがかなり強力だ。
それにかなり応用できそうな気がする。
ちなみに、スキルLvが足りないのかMPが足りないのかは分からないが、時間を完全に止めることはできなかった。
遅延と加速は直接攻撃する魔法ではない。
そこで俺は、攻守の手段となる使い方ができないか更に検証に検証を重ねた。
そうして編み出したのが、空間を固定する魔法だ。
これもかなり応用ができる
空間を固定して不可視の壁を作り出したり、不可視の床を作ってその上を移動したりできる。
自分で作った不可視壁に本気で体当たりしてみたが、全く壊れる様子はなかった。
なおあまりの痛みに悶絶したことは言うまでもない。
この2つの使い方は、防御や補助に効果が期待できそうだ。
もちろん、攻撃手段も編み出した。
試しに芋虫の身体を2つに分断するように空間を固定したら、見事に身体が真っ二つになったのだ。
これは非常に強力で、物を断つことに関しては抜群な効果が期待できる。
俺はあまりの効果から「断絶」と呼んでいる。
密かに自分の中で気に入っている。
ただし、スライムに試したら芋虫に使用したしたときとは異なり、引き寄せのときと同じように抵抗感を感じたので、格上相手には簡単には通じるとは限らない。
おそらくだが、これにはステータスの魔攻と魔防が関わっているんじゃないかと思う。
俺の魔攻がスライムの魔防を上回っていたから、引き寄せも断絶も成功したんだろう。
芋虫は論外。
検証相手が弱すぎるのも考えものだ。
それに実用性を考えるならば、現時点では効果の範囲が小さいのも難点だ。
たしかに効果そのものは非常に強力だが、まだステータスが低いため、大規模な空間操作は今はまだできない。
芋虫を切る程度ならMP消費は2とかなり少ない。
スライムの全身を切ろうと思えば、10もあれば十分だった。
燃費が良いとは言えないが、べらぼうに悪いわけではないと思う。
俺自身のLvが上がればステータスも高くなるし、スキルのLvも上がれば、燃費も良くなり効果範囲も広がるだろう。
ちなみに、生物以外も断絶で切ることができる。
しかし普通の石は簡単に切れたが、普段籠っている洞窟の壁は、MPを10使っても僅かにかすり傷をつけられる程度だった。
芋虫が大量に湧いてくる洞窟だし、何かあるのかもしれない。
魔法の手数を増やした俺はここ数日、洞窟と川を往復する途中によく遭遇するスライムを相手に、魔法の練習を繰り返していた。
何度も繰り返しているうちに、だんだんと発動時間が短くなっていくのが楽しくて、同じことの繰り返しでもそれほど苦にはならなかった。
今日も今日とて、水分補給後のスライム狩りだ。
何度も倒しているのに、毎日同じ場所で1匹から3匹ぐらいのスライムが草を溶かしている、というか食べている。
(美味いのかな?)
芋虫も飽きてきたし、食事の種類を増やすことは重要事項の1つだ。
(でも俺、蛇なんだよなぁ……)
まあ肉食なだけで植物を食べてはいけないことでないし、深く気にすることもないだろう。
スライムを倒したらあの草を洞窟に持って帰って、少し食べてみるか。
川から洞窟に帰る途中で、すっかり見慣れたスライム2匹を発見。
1匹は引き寄せで核を奪う。
1匹は身体を核ごと真っ二つに切る。
《Lvが上がりました》
2匹目を倒すと同時に頭の中に声が響く。
どうやら2日ぶりにLvが上がったようだ。
スライムの核を回収したら、ステータスの確認をするためにも洞窟に戻るとしよう。
慣れた手つきで回収を済ませると、昨日よりも軽い足取りで帰路につく。
(あ、手足はないんだった)
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