第13話 Side 白銀の聖 前 (三人称視点)
Sランク冒険者パーティー白銀の聖は、ハルメイユ王国の王都にある冒険者ギルド本部に呼び出されていた。
「Sランクパーティーが呼び出されるって、なにかどんでもない厄介事でもあるのかしら?」
呆れたように溜息をつくセレス。
彼女はSランク冒険者パーティー白銀の聖のリーダーであり、数少ないSランク冒険者の1人である。
光魔法を得意とする魔法剣士で、前衛と後衛の両方をこなす事ができる万能型スタイルである。
しかし決して器用貧乏などではなく、その剣の腕前は王国最強と謳われている王国騎士団長に匹敵するとまで言われている。
また魔法に関しても、魔法専門のAランク冒険者に並ぶ技量を持っている。
また、肩にかかるほどの煌めくような美しい銀髪に、黄金のような輝きを持つ琥珀色の瞳は、見るもの全てを魅了するとも噂されている。
その強さと美貌から『戦乙女』という二つ名まで付けられ、ファンも数多く存在している。
「ま、アタシらに掛かればどんな依頼も瞬殺だぜ!」
前向きで勇ましい姿勢を見せている女の名はミレイ。
同じく白銀の聖に所属するSランク冒険者である。
短い赤髪に紅眼という炎を彷彿させる容姿をしている。
火魔法を扱うが後衛ではなく、体術と火魔法を組み合わせた独特の格闘スタイルで前衛を担っており、その容姿と戦い様から、ミレイの名前よりも『爆炎』の二つ名の方が知名度が高い。
しかし、前衛でありながらこのパーティーの斥候役も担っている。
顔は整っているが、気性が荒く背が高いためか男人気は低く、その代わり女人気が非常に高い。
「否定はしないが、油断は禁物だ」
表情一つ変えずに注意を促すのは、このパーティーのタンク役を担っているダンだ。
彼はスキンヘッドで浅黒い肌に黒目、ミレイ以上の巨漢から放たれる威圧感は、寡黙なことも相まってかなりのものである。
しかし見た目とは裏腹に、性格は温厚で仲間思いの優しい男であり『守護者』と呼ばれている。
その名の通り、彼が前線に立てばどんな場面でも後衛の安全は保証されると言われている。
「そんくらい分かってるよ! 相変わらずダンはバカ真面目だな。油断はしてないけど今までの依頼はほとんど余裕だっし今回も問題ないだろ。な、シェイ!」
「そうだね。全員が個人でもSランクだし、バランスも取れているからね。このパーティーにできないことを探す方が難しいよ。今回の依頼もきっと大丈夫さ。あ、今のはフラグじゃないからね?」
ミレイに同調している男はシェイ。
小柄で子供に間違えられることもあるが、彼も立派なSランク冒険者である。
青髪碧眼で色白の肌に小柄ということも相まって、華奢に思われることも多いが、彼は世界でも有数の水魔法の使い手で『水帝』と呼ばれている。
彼の水魔法は、膨大なマナ量による圧倒的な水量による蹂躙から、緻密なマナ操作による多種多様な戦い方をするスタイルをとっている。
また、光魔法でしか成し得ないとされていた魔法の治癒を、その緻密なマナ操作により初めて水魔法で成し遂げた天才中の天才でもある。
「ギルドに着いたし、細かいことは話を聞いてから考えましょ」
セレスの一声でパーティーメンバーは口を閉じる。
切り替えの早さもトップ冒険者のそれである。
「お待ちしておりました、白銀の聖の皆様早速ですが、ギルドマスターの所へ案内させていただきます」
このパーティーの専属受付嬢のメイは、白銀の聖の面々を視界に捉えると、流れるような動作で別室へと案内した。
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「マスター、白銀の聖の方々がお越し下さいました」
「お、来てくれたか。わざわざ呼び出してすまない。メイも案内ご苦労」
案内された部屋には1人の巨漢が待っていた。
その大きさはダンにも引けを取らないほどである。
「いえ、ギルドマスターの呼び出しとあらば、応じるのが冒険者の務めでもありますから」
この短髪で巨漢の名はグレン。
ミレイと同じく赤髪紅眼の持ち主で、かつては『灰塵』と呼ばれていたSランク冒険者だった男である。
冒険者を引退してもなおその肉体に衰えた様子はなく、未だに現役なのではないかと思わせるほどだ。
「他のSランクの奴らも白銀の聖と同じように、すぐに召集に応じてくれりゃあ楽なんだがなぁ……っと、今をときめく白銀の聖を愚痴で長く引き止めるのも良くないな」
対面の椅子に腰掛けるように促すと、先程までとは打って変わって神妙な面持ちになり、慎重に話を切り出す。
「単刀直入に言う。Sランクパーティー白銀の聖に、王国からの指名依頼が入った。内容は、アイバーン辺境伯領にある最果ての村メリドの更に奥、不帰の森付近の調査だ」
「不帰の森付近の調査ですか?」
少し驚いた様子を見せるセレス。
「ああ。なんでも不帰の森方面から一瞬ではあるが膨大なマナを感知したようでな。今のところ直接的な被害はないが、何かあってからでは遅いということで調査することになったそうだ。そこで、その白羽の矢が立ったのがお前たちってわけだ」
「確かにあそこに半端な者が足を踏み入れては簡単に命を落とすかも知れませんからね」
不帰の森は、名前の通り一度入れば二度と出てこれないと言われている森である。
その広さは異常で、森を囲むように国が4つ存在するほどの面積を有している。
森内部の記録がほとんど無いことからも、その危険性は想像に難くないだろう。
「そういうことだ。お前ら以上に適任はいないと国が判断したようだ。引き受けてくれるか?」
「国からの依頼となれば、おいそれと断るわけにはいかないでしょう。その依頼、引き受けます。報酬は期待しても良いんですよね?」
少し挑戦的な微笑みを浮かべながら問いかける。
「それはもうばっちりだ。国からの依頼ともあって報酬は白金貨20枚だ」
「分かりした。では今日中に準備を済ませて、明日には向かうことにします」
「その言葉を聞けただけでもう満足だ。無用な心配だとは思うが、場所が場所だ。誰一人欠けることなく帰って来いよ」
「無論です。私たちはSランクパーティー白銀の聖ですから」
不敵な笑みを浮かべると、セレス達は自信に満ち溢れた様子で部屋を後にした。
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