表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カモフラージュ婚  作者: 代理人
5/6

一話 ⑤

 舞踏会から帰宅し、レベッカは自室へとむかった。堅苦しいドレスなど、すぐにでも脱ぎ捨ててしまいたい。それに、愛しい彼が待っている。


「たっだいまー!」


 そういいながら部屋のドアを開け放つ。


「おかえりなさい」


 柔和な笑顔で出迎えてくれたのは、レベッカが愛してやまない恋人のエリックだった。


「リッキー! ただいま~!」


 力強くエリックを抱きしめ、チューをせがむ。エリックはレベッカを抱きしめ、お望み通りキスをした。


「食事を用意してあるよ」

「やったー、最高~」


 エリックが抱きしめたまま、レベッカのドレスを脱がす。彼の手つきは慣れたもので、すぐにレベッカは下着姿になった。


「はぁー、ラクぅ」


 煩わしいドレスを脱いだことで、開放的な気分になる。下着姿のまま、ソファに座り込む。


「お嬢様! その姿のままでは風邪をひきますよ」


 レベッカのドレスを回収しに来たメイドにそう怒られ、レベッカはごめーんと力なく答えた。

 メイドの手によってバスローブとガウンを着せられる。髪の毛の飾りも取られ、サラサラとした髪がソファに広がった。手早くメイクも落とされ、リラックスモードに入る。


 舞踏会から帰ってくると、彼女はいつもこうだ。諜報員として、様々な情報を集めてくる作業は、必要以上に体力と頭を使う。普通に参加するよりも、疲れることだろう。


 テーブルにエリックの料理が準備され、美味しそうな匂いが立ち込める。

 レベッカのお腹もぐぅーと鳴り、空腹を訴えていた。


「はぁー、美味しそう……」


 そういいながらも、動く気配がない。ソファにもたれたまま、目をつぶっている。

 すべての料理を運び終えて、エリックがレベッカの隣に座った。彼女の頭を肩に乗せて、料理を口に運ぶ。


「はい、あーん」

「あー」


 エリックによって食事が口に運び込まれ、レベッカはゆっくりと咀嚼する。


「おいしい……」

「よかった。ほら、まだあるから」

「うん。食べさせて」

「はいはい」


 恋人同士の甘いやり取り、というよりは、親鳥がヒナに餌を与えているようだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ