表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カモフラージュ婚  作者: 代理人
1/6

一話 ①

第一話「カモフラージュ婚」①


 それはうららかな春の日差しが草木いっぱいに広がっている時だった。

 家族や親族に祝福されながら、それは行われた。


「汝、セオドア・サンゴショーはこの愛に嘘偽りがないことを誓いますか」

「はい。誓います」

「汝、レベッカ・ナンセンスはこの愛に嘘偽りがないことを誓いますか」

「はい。誓います」

「それではここに、婚姻の儀が果たされたことを宣言します」


 鐘が鳴り響く。純白の衣装に包まれたレベッカの手を取り、セオドアがエスコートする。ゆっくりと、しかし、しっかりとした足取りで二人は外へと向かった。

 扉が開くとともに、光が教会の中に入り込んだ。


 こうして、レベッカ・ナンセンスとセオドア・サンゴショーは結婚した。


 仲睦まじい夫婦のように見られる彼らは、式が終わり次第すぐに家へと帰宅した。誰もが、愛に包まれた夜を迎えるのだろうことを想像した。

 もちろん、二人は仲睦まじい夜を迎えるのだが……。



「ただいまー! リッキー!」


 家のドアを開けた瞬間に、レベッカが叫んだ。迎え入れた執事は笑顔を崩すことなく、馬車の片づけを行うべく外へと出た。

 執事の後ろから出てきたのは、柔和な男性だった。麦藁色の髪の毛がふんわりと揺れる。


「おかえり」

「ああ、会いたかったー!」


 セオドアのことを放り出して、男性へと近づき、ガバッと抱き着く。


「あー、いい匂い。かわいい。最高にかわいい。好き」

「お疲れ様」


 レベッカの背中をさすっているのは、彼女の恋人のエリックだ。


「セオドアさんも、お疲れ様です」

「ああ」

「お部屋でお待ちですので、どうぞ。僕らのことは気にせず、向かって下さい」

「そうする」


 セオドアはメインホールの階段を上がり、左へと曲がっていった。


「ほら、僕らも行こう」

「うん!」


 エリックにエスコートされ、デレデレとした笑みを浮かべる。

 

 レベッカ・ナンセンスとセオドア・サンゴショーは結婚した。しかし、彼らの結婚は通常のものではない。

 お互い恋人がいる状態で、ただ名義のためだけに結婚をした。

いわゆる契約結婚もとい、カモフラージュ婚であった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ