拉致
王宮では
綺羅びやかに 着飾った 貴族が 次々 到着して 降り立っていく
リリアーナとアランが先に 王宮に到着して エントランスに向うと
「うわ~~ 王宮 凄い 綺麗」
「アラン様 王宮って 初めて入ったんですけど 凄すぎて 怖いです」
「緊張してきました」
アランは 周りを見渡しながら異変を 感じ取っていた
「様子が おかしい」
「いつもと 何か 違うな」
「どう違うの」
「見慣れない人が 多い」
「いつもより レディが いっぱいいる」
「変だな」
「端の方へ 移動しましょう」
「はぐれないように しっかり 掴まっていてください」
「はい」
レギオンの馬車も到着する
マーガレットをエスコートして
レギオンが 玄関から はいってくる
とたんに 群衆の注目を浴びる
「レギオン様が 女性をエスコートしている」
「どちらの ご令嬢かしら」
「あれが 噂の ご令嬢ね」
いたる所で 話題になっている
その中には
「皆さん 計画通りに やりましょう いいですわね」
「レギオン様を 私達の物に ですわ」
「いつもより 人が 多いいな」
「マーガレット 私も 多少 挨拶をしなければならない 人が いるので はぐれないで下さいね」
「はい」
レギオンの周りに 人だかりができ始めている
レギオン様も 侯爵同士で 挨拶を かわす
「リング侯爵 元気そうで 」
「ブルックス侯爵も ご健勝で何より」
「今日は 今度 私の 孫になる娘を 紹介したくてな」
「コゼット ここにおいで」
「始めまして コゼットと申します」
「丁寧な 挨拶を ありがとう 私は レギオン·ドリングです」
「レギオン 私の孫と ダンスの一曲めを 踊ってもらえないかね」
「申し訳御座いません ダンスのパートナーは 決まっているので お断りいたします」
「失礼致します」
「お待ち下さい」
コゼットは レギオンの腕を掴もうとした
バチッ
静電気の様な 鋭い音がした
「なんだ コゼット お前 魔力が あるではないか 使えない その ドレスは くれてやる さっさと 帰れ 邪魔だ」
「お許しください 侯爵様 失礼致します」
次々 レギオンの周りに 挨拶の人だかりが できてきた 中々 抜け出せない
その中に ヴェルフ伯爵も その中にいた
「ご機嫌様 レギオン侯爵 我が娘も 一目だけ 見てもらえないですが」
その娘は 確かに 魔力無しで 金髪(ウィッグを着け)で 緑の目が 輝いて見えるよう カラコンが 光っている 年も 若そうに見えた
思わず レギオンも 足を 止めてしまった
挨拶をしながら 手が触れてしまった
確かに 触れる
(魔力無しなのだな なんだ この 黒い影が見える 何かに怯えているな )
(この娘からは 嫌な感じしかしない)
(ヴェルフ伯爵 何か 企んているな)
空が 怪しくなってきた
黒い雲が 渦巻き始めた
ぐるぐると ゴロゴロと 鳴り始める
レギオンが 挨拶を交わしている間に 綺麗な 貴族令嬢に さらに 囲まれていった
レギオンの腕に エスコートされていた マーガレットだが 周りの令嬢達に そっと 引っ張られ レギオンから 離されてしまった
「貴方の様な 下っぱの 貴族は 後ろに 並びなさい」
「レギオン様に 会うのは 順番ですよ」
マーガレットは どんどん 後ろに 追いやられていった
後ろから 周りの令嬢たちを 見ていた マーガレットは 場違いを感じていた
綺麗な方がいっぱい 家格も上の方が 大勢いる この中には
私のように レギオン様に 触れられる方も いるのね
他の方が 良くなってしまうでしょう 私みたいな 行き遅れのしがない男爵令嬢では もう 見てもらえない
マーガレットは 後ずさりしながら その場を 離れ 壁際に移動する
そこへ 一人の フットボーイがやってくる
「レギオン様の お連れ様ですが?」
「はい」
「レギオン様から あちらの テラスの 隅にある 椅子に 座って 待っているようにと 指示がありました」
「あの 隅にある 椅子ですか」
「はい 挨拶が済み次第 すぐ いらっしゃる そうてす」
「わたりました」
マーガレットは 言われた椅子に 移動して レギオンを 待つことにした
ここは 綺麗な庭に面した 場所で 休むには 丁度いい 2人掛けの椅子が 置いてある
確かに ここの方が 目立たなくて いいかも
人だかりの方が やはり気になる 目が 離せない
気持ちが どんどん 落ちていく 他の令嬢が 綺麗に見えてくる 私なんかじゃ 駄目よ
背後の暗闇から 2つの 手 が スーッと 伸びてきた
その手は マーガレットの口を押さえた
次の瞬間 フットボーイの男に 体を 拘束され 奥に 引き込まれた
レギオン様 助けて
声が 出ない
暗がりに 引きずり込まれていく……