めんどくさい恋
俺は、貴弘、ゲーム好きの32歳、まさか恋愛でこんなに困るとは想像していなかった。
彼女の美和が一緒にいても黙っていることが多くなった。(大人しい、小説好きのショートカット笑顔が可愛い女の子)
俺の家に来ることが減った、もともと仕事の休みの日が合わないのでお互いスケジュールが合えば会うくらいになっていた。それが普通だと思っていた。
メールで「疲れた」といい残し俺のメールに返信がこない。そうして2ヶ月がたとうとしていた。
俺から電話するのは、勇気がいる。母親も美和が来ないことに気がついて何か言いたげだ。
ちょっとやばいかなと、思いつつも仕事で疲れていたし、美和も仕事で疲れているのだろうと思っていた。
貴弘は実家住まいなので寂しさも感じずゲームで気で紛らわし3ヶ月が過ぎてしまった。
今更だが美和に電話してみる。
「はい」美和が出た
「どうした?」俺にしては信じられないほど優しく尋ねた。
「何?」美和が冷たく答える、俺は、急に面倒くさくなった
「あのさ別れたいの?」不貞腐れた声できく
「・・・うん」
「そっか、そっか、なんかそんな気がしたわ」心の動揺を隠したくて慌てて電話を切った。
俺たちの交際は、あっけなく終わった。いやまだその時は終わってないと思っていた。
彼女とは高校1年からの付き合いで15年になる、一人でもごく普通の日常だった。
これまでの付き合いは、別れるほど嫌いな人ではないし新しい彼女を作るのも面倒くさい、多少の喧嘩もあったが、時間が流れただけの付き合いかただったのかもしれないと思った。
居酒屋で男子会
悪友たちに攻められた、「はっきりしない態度が彼女を傷つけたんだ、自業自得さ」
「うるせー知らねーよ、男はこれからだ」俺が答える。
「そうだ俺達には明日がある」気の合う仲間で飲むのは、やっぱり楽しい。だちの1/3は独身だ
半年が過ぎても美和から連絡が来ない、いつも美和からの誘いだったことに気が付く。同級の美和の友達とも連絡はとらない、結婚して子育てや旦那の転勤で地元を離れている子が多いからだ。
俺は、少し太ってるし、ひげが濃いのもあり老けて見える、そのおかげで得することもあった。エンジニアの仕事は信頼と説得力が必要だからだ。仕事はいい、やる事がきまっているからだ。仕事以外だと若い女の子を前にすると何を話したらいいのかわからないし、つまらない男だと思われそうで早く帰りたくなった。
やっぱり美和じゃないとダメかもしれない。
やるせない波は後からやってきた、夜になると上手く眠れない、やたらと昔を思いだす。
20代最後の頃、美和が結婚を意識している感じがあったことを思い出す。
友達の結婚式に出席して何か言われたのだろう。
「そろそろじゃない?」みたいなこと言ってきた。俺は、お金の自由がなくなる気がして「まだいいしょっ」のような事を言った覚えがある。あれから3年美和は待ってくれていたんだ。
「俺は、美和の一番綺麗な時を一人じめしておいて責任から逃げたんだ」
美和が見合いをしていると噂できいた。
まだ間に合うかもしれない、意地なんてはってる場合じゃないことに気が付いた。
数年ぶりに彼女の家に行く、{男は、言い訳しない}貴弘は心に決める。
2
玄関に立つが、ドアは開けてもらえない
「美和、ごめんやり直したい」と告げる
美和に「話が進んでいるから無理です」と断られた。
「俺、美和が好きだ、待ってるから、ずっと待ってるから」やっとのことで自分の思いを告げた。
しかし1年待っても連絡が来ない、結婚したとも聞かない。結婚した時が諦める時だと決心した。
送りたいメールがたまる日々が過ぎた。
一方美和は、貴弘から初めて好きと言ってもらえた事が頭から離れない。
別れてから2年がたとうとしていた、今年で35歳になる。
やっと美和からメールがきた。とうとう来た、心臓が大きく音をたてた。
「貴弘さん、話せる?」の内容だ。
{嬉しい知らせに違いない、いや結婚の知らせか?}
俺から電話する。
震える声で「美和、久しぶり・・・」美和の返事が遅い。今にも心臓が止まりそうだ。
「貴?私、結婚出来なかった、貴がもらってくれる?」「うん、俺でよければ」
結婚式の風景
両親が泣いて喜ぶ
〈完〉