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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この時の悪魔

作者: 化けがっぱ



今僕は高層マンションの屋上にいる。風も何もない。雲は動かない。見上げれば既に飽きた空が佇んでいていて、僕はこの空から雄大さも自分の矮小さも感じられなかった。




理由は簡単。この時の神だからだ。







神になる前、僕は病んでいた。ブラック企業に勤め、身を粉にして働いても給料は増えず、プライベートの時間は減り、彼女とも別れた。金持ちと付き合うことになったらしい。あの時、僕は死にたかった。しかし、今まで育ててくれた親のことを考えるとそれは出来なかった。









嘘だ、死ぬ勇気が無かった。結局僕は馬車馬の如く働いていた。







僕はこの時の神になった時のことを思い出していた。








ある日の深夜、私は眠気覚ましのブラックコーヒーを口に含みながら、宿題となった仕事を片付けていると、黒のスーツを来た小柄な男性が現れた。


「頑張ってますねぇ。」


そんなことを口にしてきた。


「あなた...神になりませんか?」


...こいつなにをいってるんだ。


「いえねぇ、私、セールスマンでして。あなたみたいなムッツリスケベで、色々たまっている人を対象にしたねぇ。」


「はぁ、」


「私が売っているのは、あなたのような願望を叶える人材を派遣するための契約書です。」


「それが?」


「あなたのこれからの時間を対価にこの時の神になりませんか?という話をしに来ましたぁ。」


「この時の神とは?」


「あなたのこれからの時間は食べられてしまうので、周りの人が進んでいる時間には進めません。しかし、あなたはこの時間で生きていますのでこの時に停滞します。つまり、エロ漫画でよくある時間停止物のようになる訳です。」


途中まではよく分からないのだが最後の一言はわかった。


「そんな夢物語のようなことが?」


「あるんですね~、これがぁ。」


私はこれまでの人生を振り返って生きている意味があったのか思い出していた。



「無い...か。」


彼は口角を最大限に上まで上げてニヤニヤしながら怪しい目を僕に向けていた。


「んでぇ、どうしますか?」


「受けます。」







僕はこの時の決断は正解だと思った。











私は、簡素な四畳半の部屋に布団を敷いて、上を向いてゴロゴロしていた。明日は休日出勤の日だ。早めに寝ないといけないのだが、あんな事があっては寝るに寝られなかった。


あんな契約して大丈夫だったのだろうか?


まあ、いっか。どうせ意味の無かった人生だ。今さらなにがあろうと関係ないだろ。


あの変なセールスマンもきっと夢だろう。僕は気にしつつも何処かあきらめた気分で部屋の電気を消した。












「ケイヤク、ドオリ、タベテ、ヤル。」





















起きた時にはすでに窓から日が射し込まなくなった昼ごろだった。



ヤバイ、遅刻した



そう思い急いで仕度をしていると、ふと窓の外に違和感を覚えた。窓の外の鳩が羽を広げたまま止まっていることに気がついた。


なんなんだ、それは。


素早くスーツに着替え外にでてみると、そこは...この時で止まっていた。


なんなんだ!それは!


謎の不安が私を襲った。それに任せ、いつもは行かない人の多い街中まで走って行くと、横目に動かない人や動物を見かけた。


なんなんだ!それは!


スクランブル交差点の真ん中に立って、息を切らしながら、何処か、何かが音をたてて崩れた。


なんなんだ...それは...。


私はここで初めて現実を認識した。


「時間が止まった。」






僕はこの時を境に、喋らなくなった。









現実を受け入れ止められない私は、とりあえず街中を歩いた。動かない人の中を通り抜けるのは簡単で、目的の場所にすぐに着けた。


中華ラーメン


私がたまに行っていたラーメン屋で、もともとは近所にあったのだが、この街中に移転してから行ったことは無かった。



「いらっしゃい」



そんな幻聴がした。まあ、気のせいなのだが。


誰かに作ったであろうラーメンを勝手に食べた。その味はあのときからあまり変わってなかった。僕にはそう感じられた。





その後、何となく私はいつもの癖で会社の前に立っていた。中に入ると、いつもの朝の光景のまま写真のように止まっていた。


自分の職場に行くと私の席には自分の仕事と上司の仕事が積み重なっていた。スカスカの上司のデスクの上には、娘の写真が飾ってあった。それを見てニヤニヤしているのを見て異常に腹が立った。


この無能上司が。


顔面をぶん殴った。


音を立てて崩れ落ちる上司に更に苛立った。


急にこんな上司の下で必死こいて働いていた自分が馬鹿らしくなった。


そんな時ふと上司の娘の写真が目に止まった。


...確かあの悪魔、時間停止ものって...


そんな思考が頭をよぎった。










写真を頼りに上司の家を突き止めた。


私は上司の家の前に立っていた。中に入ると、昼食を食べている可愛らしい上司の娘がいた。


肩を触れ、顔を触れ、足を触れ、襟足を掴み、服を破り、胸を掴み、僕のものを彼女に咥えさせ、そして...私は彼女を犯した。



ヤリ終わるととても晴れやかな気持ちになった。こんな気持ち良い事があったのか。胸の空く思いだった。







その日を境に3年位だろうか、僕は様々な女を犯した。アイドルや俳優、声優、同級生、ロリ、女上司、外国人それらあらゆる女を犯した。


段々それすらも面白く無くなった。その頃からため息ばかり漏れる。はあ。



刺激が欲しい。



そんな時ふと自分を捨てたバカな女を思い出した。犯してやろう。







元カノの家の前に立ち、近くのホームセンターに有ったハンマーでドアを壊した。


中に入ると新築特有の独特な匂いに包まれて若干不快に思った。まあ良い、気のすむまで犯せば気も晴れるさ。


中を探索したがなぜかそこに元カノはいなかった。



ふざけんな、私は神だぞ。私を待たせるなんぞ良い度胸だ。犯してやる。壊してやる。


そんなことを考えてながら部屋を物色していると母子手帳が顔を出した。


なん...だと。妊娠だと...


ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!


俺はこんなに苦労したんだぞ!!何でお前だけ!




手帳を頼りに病院まで行くと、幸せそうな元カノと幸薄そうな、しかし幸せそうな冴えない男が赤ちゃんを抱いてベッドにいた。


そこに有った性欲は失せ代わりにイライラが止まらなかった。


俺はあんなに苦しんでいたのに...


そんな事考えてたらこの幸せそうな空間が狂おしいほど壊したくなっていた。



気づいたら手が出ていた。苛立ちをその家族にぶつけた。殴って殴って殴って。骨の折れる音、鼻がはしゃげる音、目玉を握り潰す音。


病室が真っ赤に染まるまで暴れ続けた。











それからも様々な所を徘徊した。日本を制覇し、船に乗って海外にも行った。何か嵌まれるものが欲しくて。生きがいを求めて。


しかし何も無かった。最初は観光名所を見ることに精を出したが飽きてしまった。


時には小説にはまったこともあったが、飽きた。


ゲームも数学も芸術も破壊も性欲もなにもかも退屈になってしまった。


もう一万年は生きた。この世の全てを手に入れた。


しかし、この無限にあると思っていたこの世界は時間があるからこその無限だと思い知った。


僕は何てものを手放してしまったのか。













ひゅるひゅるひゅるひゅる〜〜



幾万回見上げた空に動きは無い。こんなクズ野郎には救いの手も差しのばされるはずがない。


「僕はもう疲れた。」


何千年ぶりに声帯を使っただろうか。そんな事を考えた。



クチャ











駄文に付き合わせてしまい申し訳ありませんでした。


何となく描き始めたものです。このジャンルで、あっているのでしょうか?



9月10日報告

その後沢山の誤字報告ありがとうございました。自分でも確認出来なかった沢山の誤字の山は修正致したつもりです。


まだまだあるかもしれませんがその都度報告してくれたら幸いです。


後、誤字報告の中に一人称の私と僕を報告して頂いたのですが、そこは生意気にも意図して僕と私を変えているつもりなので、その上で間違っていた場合報告していただけると有難いです。

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