イマとカコ
「あの人はまさか…あの時…私を助けてくれた…だとしたら…私はあの人に恩返しをしなければいけない」
そう3年前の夏、私は誘拐された。
塾からの帰り後ろから布で睡眠薬を無理矢理飲まされて…目を覚ますとそこはどこかの古い倉庫だった。暗い孤独の中、私は一晩過ごした。
ー朝になった。犯人はこの部屋には入ってこない。薬の副作用か恐怖のせいか声がでない。恐怖に怯えていると外から戸を破って、彼がきた。
「もしかして、君…誘拐されたっていう渡部カナちゃん?今、地区のみんなで君を探してたんだ!見つかってよかった…」
そして、彼に抱きついて泣いた、彼は私の頭を撫でながら大丈夫大丈夫と言ってくれた。
このあと私達は交番に行き保護され、犯人は捕まった。
あの時、私は名前を聞いていなかった、でもあの声は間違えないあの時私を助けたのは南雲 健人君だったんだ…。でも彼はもう覚えていない…。
朝、泊まっていた俺は遥香の家で朝食を食べていた、相変わらず美味い。でも何故か遥香の顔は赤い。
「その、昨日の雷の件は…」
「以外だったなーまさか遥香は雷が怖いなんてなー」
「そうなんだ…その…いきなり抱きついてごめんね…」
遥香母に聞こえないくらいの声量で言った。
「あ、あぁ気にすることないよ」
そう遥香は朝まで俺に抱きついていたんだ、お陰様で俺は眠れていない。
「健人くーん、実はここにテーマパークのチケットがちょうど2枚あるんだけど、今日までなのよ?遥香と今から行ってきてくれない?」
「えっいいんですか!?良かったな遥香!」
「うん」
「やったわね遥香!」
そして俺たちは遊園地に行くことになった。
遊園地までは電車に乗って行く。
「健人はまずなんのアトラクションに行きたい?」
「まずはこのでっかいジェットコースターかなー」
「えっ…そ、そう」
「もしかして…苦手?」
「ちょっとだけ…」
「ならやめとくか」
「け、健人となら乗れる気がする…」
「そうか?じゃあ乗ろう!」
ーなんて話をしてる間に着いた。
「人が多いなぁ」
「そ、そうだね、はぐれちゃダメだし…えっと…て、手でも繋ぐ…?」
「えっ?」
「ほ、ほら小さい時はよく繋いでたし嫌だった…?」
「そんなことないよ、じゃ行こうぜ!」
その時の遥香の手は小さくて暖かかった。