ずっとこのままで
ほんっとに寝れなかった一睡も出来なかった。
だってずっと横で美少女が寝てるんだぜ?
寝れるわけがないよ…
あ、何もしてないよ?
やましいことは何もしてない!!
「おはようカナ」
「おはよう…ございます…あれ…私…」
目を擦りながら、カナが答えた。
「ぐっすり寝てたな」
俺は全然寝れなかったよ…
昨夜、俺はカナと同じ布団に寝た。
当然カナは俺に抱きついた。
ドキッとしてしまう、まだ少し湿った銀色の髪の毛からはほのかにシャンプーの匂いがする。
するとカナはそのまま眠ってしまった。
流石にそんな状況で眠れるほど、俺の肝は座ってなかった。
その夜俺は考えた。
これから先のことを…
俺は遥香が好きだ。
でも遥香を選んでしまうことで、カナを1人にする事を考えていなかった。
今日のカナの言葉を思い出す。
「私は健人くんのことが好きです、大好きです。いつも私を助けてくれるヒーローです、そんな健人くんのヒロインにはなれないんですか?」
カナは俺をヒーローだと言ってくれた。
こんな不甲斐ない俺を…
俺はカナを守りたい。
カナが家に来てから楽しかった。
ずっと続けばいいと思った。
でも…
でもやっぱり俺は遥香が好きなんだ…
でもその選択はカナをひとりぼっちにしてしまう。
でも、でも、でも
俺は…
俺は何がしたいんだ…
きっと正解なんてないんだ。
どちらかを選ばないと…
どちらかを…
どっちだ…
俺は…
俺は…
クソっ…
…
…
…そして俺は自分の気持ちに蓋をした。
そうきっとこれが正解だ。
カナも遥香も傷つけたくない。
そして朝になり、今に至る。
「帰るか、カナ」
「はい。健人くん」
どこか悲しそうだった。
「そんな悲しそうな顔をしないでくれよ」
「対決はどっちの勝ちですか?」
そうこの旅行はカナと遥香のデート対決。
「そういうのはやめにしよう。」
これが俺の答えだ。
「でも、私は…ハッキリさせないと!」
「とっても楽しかったぞカナ。ありがとな。俺は決めたんだよ。どっちも選ばない。」
そうどっちも選ばないことが1番いいに決まってる。
「選ばないんじゃないでしょ?選べないんですよね?」
カナの言葉が胸に刺さる。
「選びたくないんだ。このままの関係がいい。お前が家にいて、飯食って、遥香と俺とカナと3人で遊んだり、笑ったり、友達として一緒に過ごしていきたいんだ。」
そう、友達として…
「そう…ですか」
カナが悲しそうな声でそう言った。
「分かりました!これからもよろしくお願いしますね!健人くん!」
切り替わったように明るくカナが答えた。
帰りのバスで俺はぐっすり寝ていた。
「…私はこの旅行で健人くんに恋人として接してもらって、満足して健人くんとさよならしたかったのに…こんなんじゃ…ダメなのに…」
涙を浮かべながら渡部カナは健人の寝顔を覗く。
「私は…私は…貴方を諦めることが出来なかった…」
涙が止まらない。
大好きな人はこんなに近くにいるのに…。
そしてカナは寝ている健人に口付けをした。




