カナの真実
「お義父さん…」
カナの目は怯えていた。
「カナ今まで何をしていたんだ?帰るぞ…」
「もう貴方の所には帰りたくないんです」
「その…今までのことは謝ろう…だから、また俺の所に戻ってきてくれ…」
「嫌です!」
カナは声を荒げて言った。
「カナ…この人はお前の」
「ごめんなさい、ちょっと黙ってください、健人くん…」
「カナ戻ってきてくれ…」
「嫌です!絶対に…」
カナはその父親と思われる人物に敵意を向けている。
「カナ、今までのことは本当に反省しているんだ…本当にすまない、だからまた…」
「やめてください…貴方はもう家族でも、何でもありません!他人です!早く消えてください!」
それを聞いた時俺はカナに怒りを感じた。
「カナ!お前に今まで何があったかわからねぇ…でもな!家族でも、何でもないなんて言うな!そんなこと言っていいわけがないだろ!」
するとカナは落ち着きを取り戻した
「そうですね、健人くんの言うとおりです。これは私のわがままでしたね…すいません…取り乱してしまいました…」
カナは悲しそうな表情で言った。
「お義父さん…すいません…帰ります」
「おぉよかった…」
「では…健人くん…」
そして最後にカナは俺にだけ聞こえる声でこう言った。
「助けて」
俺はカナのことが気になり遥香なら何か知ってると思い、遥香の家に行ってみた。
「健人?こんな時間にどうしたの?」
「ちょっとカナのことで…」
「ケンカでもした?まぁ部屋に入って」
遥香は心配そうに俺を部屋に入れた
「カナと何があったの?」
「実はさっきカナの父親と会って、その…カナがその人と口論になって、それで色々あって…カナを怒鳴ってしまって。」
「その男にカナを渡したの?」
「えっ?」
遥香の声色は一瞬にして変わった。
「渡したかって聞いてるの」
「まぁカナはその人と一緒に帰ったけど」
「なにやってんの…?カナはその男に虐待を受けてるんだよ?」
俺はその言葉を信じることが出来なかった。
「どういうことだよ!」
そうだ、男が言ってたことを思い出した…確か、謝るだとか…
「カナはあの男に虐待を受けて、唯一頼れる健人の家に逃げてきたのよ!」
怒声をあげながら遥香は泣いていた。
「でもカナは俺にはケンカしたとしか…」
「そんなの健人を心配させないために決まってるでしょ!」
「俺はなんてことを…」
「カナはこんな事があるかもしれないって言って、私に一応前の家の住所を教えてくれてるの…だから健人…」
「行くよ…迎えに」
「私も…」
「お前はここで待っといてくれ」
遥香を危険なことに巻き込むことはできない。
「でも…」
俺ははにかんだ笑顔で遥香にこう言った
「大丈夫だ、全部俺が解決してくるから!」
私はもう健人を失いたくなかった…でも、もう私には健人を止めることが出来なかった。