夏休みの残骸
午後6時、お腹がすいたからとりあえず近くのコンビニに弁当でも買いにいこうと準備をしていると、インターホンが鳴った。
「け・ん・とー!ご飯作りにきたよー!」
「あっ遥香いいとこにきたな!ちょうどお腹が減ってて…あっ!入ってくれ。」
高校生の一人暮らしでマンションに住んでる俺にとって遥香が飯を作りに来てくれるのはとても嬉しい。
遥香は幼稚園時代からの幼馴染みで俺に世話を焼いてくれるいいやつだ。
遥香をマンションに入れるとドサッと買い物袋を置いた材料を見る限り今日の晩御飯はカレーだ。遥香が作るカレーは美味い、ていうか何を作っても美味い。
俺は遥香が飯を作っている間リビングでテレビを見ていた、すると遥香が。
「夏休み明日までだけど宿題とか終わってるの?」
「あっ…宿題何もやってねぇ…」
その時俺は絶望した、宿題のことを思い出した勿論何もやっていない…
「はぁ…どうせなんにもやってないと思った…仕方ない後で手伝ってあげるよ…」
呆れながら遥香が言った。
「あ、ありがとう!!マジで助かります…!」
「そのかわり…」
「そのかわりなに?」
「えぇっと…その…」
「なんだよ?」
「や、やっぱいいよ」
「そうかじゃあ後で手伝ってくれ」
「わ、分かった」
なぜか遥香の顔は赤かった。
そんな会話をしているうちにカレーができたようだ。ものすごく美味い…スプーンが止まらない…。
バイトで昼食を食べていなかったため美味しさは十倍くらいに感じた。
食べ終わり、宿題をやることになった。
山のようにある宿題を一つ一つ終わらせる……遥香に手伝ってもらいながらどうにか終わった…。
「ふぁぁあ、やっと終わった…眠い」
「お疲れ様じゃあ私明日学校だし帰るね」
「お、おぅもう遅いし送っていくよ」
遥香を家まで送ることにした。
「ね、ねぇ健人…」
「なんだ?」
「実はさ…」
「うん」
踏切で遥香が何か言おうとした時電車が通ってよく聞こえなかった。
「ん?なんて言ったんだ?」
「い、いや何でもない…」
「いや絶対なんか言おうとしただろ」
「だからなんでもないって」
「わかったわかった、じゃあもうお前の家近いから俺帰るわ、今日はありがと!じゃあ明日学校でなー」
「う、うんじゃあね」
遥香はどこか寂しそうにそう言った。
「……全く健人は気づかないんだから…わたしの気持ちに…」
遥香は幼馴染みの健人に恋をしている…その事をまだ彼は知らない……。