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プレゼント・ディザイア ~無欲の魔王~  作者: 相川キリンwithヒゲメガネ
Ⅰ 人であろうとする者、この広大な大地に足をつけた
8/16

南への道 ~南の名物~

逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ



目の前のこの課題の山から

「しかし嬢ちゃん、正気ですかい?うちの街長(ネエさん)に喧嘩を吹っ掛けるってのは」

チンピラBは呆れた様な、尊敬する様な表情で問いかけてくる。それも当然だろう。これからヤる相手は、この南地区の(やから)に圧倒的な快勝と言う結果を叩き付けた女なのだから。

正直、勝てる気がしない。だけれども、勝たなくてはいけない。


「やぁ・・・娘っこが街長(ネエさん)に勝ったらなぁ、俺らの借金がチャラになんのかなぁ」

とチンピラA。この地区の輩は街長(まちおさ)に対して何千億もの借金がある。・・・どんだけ負けたんだよ。

お前は気楽でいいな。お前のAは、きっとココ()のAだろうな。違うけど。


「おいガキ。ここまで来たんだ、勝てよ」

と素っ気なくチンピラCが言ってきた。なんだよ、ツンデレかよ。需要あんのかよ。

多分・・・応援・・・してるのよね?


「あ、あの!え、ええと、が、頑張って下さい!」

と、隣を歩いている少女が応援してくる。天使、以上。


 ところで、私には気になることがある。おじさまの所の名物は焼き串だった。じゃあ、

「ちゃっとココア・・・じゃなくてA君?その、あそこに置いてある~、缶に入っているものはなんだい?」

南の名物はなんだい。さっきから私のセンサーがビンビン反応しているんですが、それは。


「ん?あっ、あれか!おまえらの所にはないのか?ないから聞いてるのか!わははは!あれはなぁ」

と、少しためてから、

「「「カンカンだろ」」」

ハモりやがった。しかし、カンカン。かんざしって意味じゃないよなぁ。

いや、それよりも重要なことがある。


「ところで、あの“C”と書いてあるのは何味だい?」

それが重要だ。頼む、当たっていてくれ・・・


「あれか?チョコレートだr



 よ―――――――しゃァァァァァァァァァァ!!この世界に来てから口にできなかったチョコレートだ!

何年ぶりだ!ひゃっほい!買い占めろ!ヤロー共!・・・よし、落ち着いた。


「そ、そうか。Bよ、ありがとう。まま、まぁ、しゃうぶ中にはらがへってはしゃうちゃうできないからね。しょうがないね!うん!よし!五つくらい買っておこうかなぁ・・・」

うん、落ち着いてないね!うん、Bが優しい目でこっちを見てやがる。AとCみたく気づかなければいいものを。


「そうだな、街長(ネエさん)にお土産ないと駄々こねるし、合わせて十缶くらい買っていこうか」

いつもと変わらぬ声のトーン、表情、そして変に思われない様の口実。こいつ・・・紳士(かんぺき)だ!

こいつのBはビリーブのBだ、違いない。


「あ、あの、ええと、わ、私も一ついいですか?」

と隣を歩いている少女がねだってきた。そんな申し訳なさそうな顔をしないで、あの店のカンカン買い占めるから。


「よし、じゃぁ十五缶買っていこう」

Bはそう言って、店の人と話をつけに行った。もちろん、店の人はチンピラ、世紀末風の。


「おいガキ、テメェ街長(ネエさん)とのやつ。あれ、勝算あんのかよ?」

Cは心底呆れた風に聞いてきた。こいつは私に勝ち目がないと言いたいのだろう。

何回も言うが、ここの街長(まちおさ)はチンピラどもを手玉に取る程の実力者だ。どんなイカサマを仕掛けてくるか想像できない。私もそれなりに見抜く方法は知ってるが、なんせ異世界、どんな事が起きるか予想できない。


「ないよ。でも・・・かつよ」

勝算も情報も味方もないこの状況、自信だけは強くなくては。私は、そう強く返事をした。


「そうか・・・気を付けろよ」

Cなりの警告と応援であろう。素っ気ない、だけれども、その一言で決意が固まった。


「嬢ちゃん、買ってきたぜ。・・・それじゃ、そろそろ行くか。覚悟をしとけよ?

俺も一回しか街長(ネエさん)と賭け事したことないけど、それでも―――――強いぜ、あの女」

ニヤつきながらBが言ってきた。まるで、負け戦に行くやつを嗤う様に。Bめ、いい性格をしてるな。


 あぁ、これから戦う相手は強い。分かる。なんせ、どいつもこいつも南の街長が負けることは考えていない。

 敵ながら、いや敵であるが上での信頼。いつまでも壊れる事のない神話じみた諦め。

 これは作業だろう。勝負しに行って、勝負して、そして負ける。簡単な、単純単調な作業の繰り返し。


いや、それも今日までかな?だって、私が勝つもの。


私はカンカンの中のクッキーみたいな生地に包まれたチョコレートを頬張りつつ、最初のボス戦に想いを馳せた。

まさか、無力な私の最初の勝負が賭け事とはね。

ノンノちゃんは、焦ると噛みまくります。

ノンノちゃんは、ちょっとおかしなところで噛みまくります。

ノンノちゃんは、チョコが好きです。

ノンノちゃんは、チョコレートが大好きです。

ノンノちゃんは、キノコかタケノコかは、心底どうでもいい問題だと思ってます。

ノンノちゃんは、見た目はロリっこ、頭脳は高校男子です。

ノンノちゃんは、海藻が嫌いですが、酢昆布は好きです。


~ノンノちゃん取扱い説明書、3頁目の数行~

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