南への道 ~ 奈落街での歩き方 ~
おで、べんきょう、きらい
おで、ベンキョウ、キライ
かゆ・・・うま・・・(殴
「取りあえず、この子の事はもう心配いらないよ。」
そんな言葉を発したのは、よれよれの白衣を着た『カテゴリ持ち』の成年。リーヴィダイン・デカルソニシュであった。
「リーヴィさん、とつぜんにすみません。急にかけこんで来たうえに医者のマネなんてさせて・・・」
と私は申し訳がない感情で張りつめていた。というのもそのはず、私は何か『訳のある』少女をここに連れてきてしまったのだから。
ぼろぼろのローブを羽織り、フードを目が隠れる位に被った全身に最近のから昔の傷跡がある少女だ。その少女は、緊張の糸が張り切れてしまいうなされながらリーヴィさんのベットで寝かしつけられている。
「安心して、大丈夫!むしろノンノちゃんの選択は最良のモノだよ!ミシ老子から君の事を頼むと言伝がありましたし。君は正しいことをしたんだよ」
リーヴィさんはあくまでも私が正しいことをしたと伝えているらしい。時に、正しさとは無意識な害でもある。私の身勝手な行動でリーヴィさんにまで被害が及ぶかもしれないからだ。
『訳がある』少女の騒動に、周りの人を巻き込んでしまったのだから。私はリーヴィさんの優しさ、好意に付け込んでいるのだから。
「あの子の傷は確かに酷いものばかりだけど、心はめげていなかったよ。ちょっと気弱そうな感じのする子だけどね、肝が据わっててチャンスがあればいつでもこうしていたはずだよ」
物事に立ち向かうことには勇気がいるが、逃げる時にはどうだ?
何かを見捨て、何かを背負い続け、何かに追われ続けるのだ。
逃げることは勇気が必要だが、胆力ももっと必要だ。そして、同じくらいの根気と忍耐力も不可欠である。
私はあの子程の勇気があるか?根性はあるか?そもそも私に何ができる?無能な私にッ!!
「さてと・・・ふぅ、一息ついたね。でも、もっと大事なことがあるんだ。」
とリーヴィさんは一息おいて、
「さて、ノンノちゃん。・・・君はこれからどうしたい?」
この問題の核心を指摘した。
✡
「あの、すみません。ノンノさん。あの、カエルとかをさして焼いているのはどういった儀式なのでしょうか?」
私はあまりの素っ頓狂な質問に、思わず吹いてしまった。確かに!あのでっかいカエルが串に刺さって焼かれている様は、黒魔術などの儀式にしか見えない!私が初めてこれを見たときも、こういう反応をしたのだろうか?そうだったら、おじさまもずいぶん堪えていたのかな?
「あれはねぇ、焼き串っていうの。儀式用の供物にみえるけど、れっきとした食べ物だよ!」
先輩風がビューっと吹いておりますなぁ。ちょっと物知り顔になってしまったよ。ふふふ… … …
「そうだ!一緒に食べよう!見た目があれだけど、味は保障するよ!なんてったって名産品なんだから!」
今日は先輩風が強く吹きますなぁ。
「え、ええッ!そんな、とんでもないですよ!私なんかにそんな―――
「よし行こう!おっちゃん!串ガエルふたつ!それに串鳥も!」
私は遠慮をする少女の言葉を遮り、手を引っ張って屋台にまで連れて行った。
「はい、熱いから気をつけてね」
焼きたてほやほや、だしの香りが香ばしい湯気をあげる串ガエル (大)を手渡した。日本語の表記がおかしい?いや、なんかこんな感じの香りなんですよ。香ばしいだけじゃ物足りない様な感じ。
「すみません、ええと、あの・・・いただき、ます・・・」
手渡された串ガエルに顔をしかめながら、目の前の少女は上品にかぶりついた。
「ッッ!!」
そうかそうか、熱いだろう。最初この巧妙な罠に私も引っかかったよ。カエルがこんなに脂のってるとは思わないじゃん!いや、異世界産だからか?
「ッッ!!?」
そうかそうか、美味しいだろう。まさか、ゲテモノがこんなにも美味しいとは。鶏肉の様な味に最初は驚くだろう。私もそうだった!
少女はお腹を空かせていたのか、串鳥もあっという間にたいらげてしまった。
「ごちそうさまでした・・・ええと、あの、その・・・美味しかったです・・・」
おそまつさまでした。私が作ったわけじゃないけど。しかし、いいものを見た。本当に、幸せそうに美味しそうに食べるね。見てよ、焼き串屋さんの行列。いつも以上に並んでるよ!まだ、氷龍の影響で寒いのに!
「あの、ノンノさん。ありがとうございます。私なんかの為に時間を割いていただき」
少女はそんなかしこまったお礼を述べた。
「ううん、いいのいいの。私もちょうどひまだったしね!」
私は少女に対して、どういたしましてと言った。そう、結局おじさまは翌日になっても帰ってこなかったのだ。おじさま、ご無事で。
「そうだ!ちょっととおく・・・他の地区へ行ってみようよ!他の名物もあるかもだし!」
私は目の前の少女を半ば強制的に手を引いてこの広場から立ち去った。
少女は戸惑いながらもちゃんとついてきている。強引な方法だが、今はこれが最善の手段。おじさまは南の地区に行ってるはず。
ひとまず、あの護衛に気づかれないように。
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まず、状況確認をしよう。
私たちはおじさまがいるであろう南の地区に向かって歩いていた。… … …が!そもそも私には、この世界での南が分からない。その前に、東西南北を知らない。
結果を言おう。迷子になった。そう、迷子!ゲットロストしたのである。困った。
「あ、あの~、え、ええと・・・ごめんなさい!」
急に謝られた!そんな申し訳なさそうな顔をしないで!ね?
「本当に失礼なことをごめんなさい!」
何を失礼だというのかね?まったく、もぉ、こまったちゃんme―――
「もしかして、迷子ですかね?あの、私たち・・・」
こまったちゃんは私であった。(^v^ ;)どうする、どうやって潜り抜ける?
この死線をどうやって、掻い潜る?… … …うん、素直に―――
「どうかみじめな私をさげすんでください。私めはだめだめなできそこないです・・・どうか、一思いに」
介錯を頼もう!そうしよう!帰り道が分からない。判決!戦犯罪で終身刑と処す。あぁぁぁ!!あんなに自信満々にスタスタ歩いて迷子ですよ。こんなのおかしぃよッ!ああ、あいるびーばっく。
「そそ、そんなにへこまないでください!えええ、ええと誰にでも失敗はありますから!ね?大丈夫ですよ!きっと親切な人が道・・・を・・・教え・・・て」
ああ、神はここにありて。神は存在した!メシア!天使!女神さま!どうしたのです、マイラブリーエンジェル?そんなに顔を青くして?後ろに闇金の取り立てが来ているみたいな顔を?して?… … …え?
「こんなところに子ウサギちゃん二羽はっけぇん!ぎゃはっはははははは!!子ウサギちゃん達ぃ?怖がらずにおじさん達と遊ぼぉうやぁぁ!!」
おじさまが言っていた。他の地区はここよりはるかに治安が悪いと。・・・来世でまた会おう。
皆忘れてると思うけど、奈落街はスラム街みたいに治安が悪いからね!
毎日、人が殺されるような場所だからね!
おじさまの所が特別安全だっただけだからね!