兄の気持ち、弟知らず
今回は異世界ではなく
ノンノこと、桜島六美の死後の地球の様子
「桜島、最近どうだ?なんだ、そのな、弟さんが亡くなってから半年だろ・・・」
そんなお節介をかけてくるのは大学の教授である。教授は、俺が弟が死んで何も考えられなくなっていた時に支えてくれた恩人である。最初は殺したいほど嫌いで、俺の態度も最悪だっただろう。それなのに俺を気にかけ続けた。今では、照れくさいが尊敬している。因みに、生物の教授だ。
「ええ、まぁ、少しは整理できましたよ。俺はまだ生きてますから、早く医者になって親孝行しなきゃならねぇですし」
「そうか・・・安心したぞ、最初の頃はテロでも起こすんじゃないかって顔してたのがすっかりイケメン野郎になりやがって!こんやろこんやろ!」
「なんですか、教授!ちょっ、痛い!つねんないでください!」
「ハハ八ッ、ったく心配掛けやがって・・・ほら!ラーメンきたぞ!食うぞ」
こんな冬の中、外で話すなんて狂気じみた行為をしていた理由はラーメンの屋台で奢ってもらうからである。あの時から教授はちょくちょく俺は食事に誘うのだ。だいたいは俺と教授の好きなラーメンを奢ってもらう。正直、親にはこんな弱いとこ見せたくないから弱音が吐けないが、教授とだと親戚の叔父さんみたいで話しやすい。前は六美のやつに質問したり、だべったりして結構話せたが、あの日以来は話せる相手がいなかった。どいつもこいつも俺を可哀想なやつだと思いやがる。俺は可哀想なんかじゃないんだ…俺なんかが…
「ったはぁ、くったくった・・・ん?なんだ、雪が降ってっぞ」
「そうですね、明日にはホワイトクリスマスですか?・・・ケーキ予約してたかな?」
「おっ!なんだ?彼女と食うのか?奥手だと思ってたがやるじゃないか!」
「違いますよ、家族と食べるんです。それに――明日、クリスマスは六美の誕生日なんですよ・・・」
「―――っ・・・そうか、すまん」
「いえ、いいんです。今年で六美が18才だったんですよ。せめて成人させてやろうとって事ですよ。多分・・・あいつの誕生日は今年で最後です」
俺は教授と少し話した後家に帰った。弟の死は確かに…なんだ?悲しい?少し違うな。衝撃だった?これが一番近いか?まぁ、親は本当に心から涙を流して六美の死を悲しんだが、それでも持ち直して働いている。母は六美の分まで俺に気にかけているが、六美の死をちゃんと認めて理解している。父はそんな母を支えるようになれない家事にも手を出している。だんだん生姜焼きが美味くなっている。
俺たちは生きているんだ。残酷だろうがなんだろうが割り切るしかない。プライバシーの保護もあったもんじゃない二人部屋が広く感じる。実際に広かったんだ。二人では狭くて、一人では広すぎる。こんな夜中だと六美がストーブをつけて暖をとってるから部屋は暖かかった。今では暗く、そして寒い。
俺は生きる。前はくさい言葉だと思っていたが、俺は六美の分まで生きようと思う。少しでもあいつにこの世界を見せてやりたいし、成仏するまでは楽しませてやらんとな。
あいつはこんな所で終わるたまじゃない。いつも言ってたしな。
「異世界に行って俺TUEEE無双の美少女ハーレム作るって」
――――この時の兄、桜島優希は知る由もなかった。
弟である桜島六美が、男性ではなく美少女に転生していることを――――
人物紹介
桜島優希 (さくらじま ゆうき)
日本人の男性。21才。誕生日は5月8日でさくらももこと同じ日。大学は医学部。
頭もよく、人付き合いが上手で六美とはほとんど正反対。
ルックスもよく、身長182というなんという高身長!
だが、自己評価は低くマイナス思考。友達は多いが、親友は2、3人。
好きな食べものは麺、嫌いな食べものは人参、玉ねぎ、かんぴょう、干しブドウ等々。
親と住んでおり、家にはゴールデンレトリーバーのプー助がいる。
弟とはよく喧嘩をした。しかし、仲はそれほど悪くなくよく話す。六美の隠れ無感情無関心をうすうす気づいている唯一の人。
実は結構もてる。中学時代に、知らぬ間に彼女ができていて知らぬ間にふった事になっている。
大学の生物教授
六翁山 理久 (ろくおうざん みちひさ)
49才。男性。好きな食べ物はラーメン、すきやきに入っている太いネギ。嫌いな食べものはオクラ。
大学教授。3人の子供がいる。21才で結婚したが、三人目が生まれて5年後に妻とは離婚。だが、一緒に暮らしている。
桜島優希を気にかけており、よく食事にさそう。だが、テストは容赦ない!
こんな名前だが出番が少ない。




