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プレゼント・ディザイア ~無欲の魔王~  作者: 相川キリンwithヒゲメガネ
Ⅰ 人であろうとする者、この広大な大地に足をつけた
12/16

南からの道 ~嵐の目~

んーしばらくこっち書きたいし、いったん他のやつは消すかな?

今年中に前に書いた話も手直ししたいね!

「おじさま~、みつけましたよ!」



 まるでお爺ちゃんに甘える様な声をインテル()の寒空に響かせる。自分でもよくこんな声が出るものだと感心してしまう。生前はバリバリの男声で、女性とは似ても似つかない風貌だったのに。それに、喋っているのは日本語ではない。英語のような言語、文字はABC(アルファベット)で構成されている。今のところ不自由はない。

異世界、転生してからしばらくたった今でさえ馴染むに馴染めない。だけど、ミシおじさまが分からない事は教えてくれるし、危険なもの、事、場所、魔物でさへ知っている。今はおじさまにおんぶにだっこしてもらっている状況。心の底から甘えているからこそ、こんな声が出たのかもしれない。

おじさまは、屋台の前のテーブルの椅子に座りながら酒を飲んでいる。もう暗くなっているというのに…



「ノンノや~怪我はしとらんか?そちらの子はリーヴィが言ってきた少女か、寒かったろう?ここに座りなさい。すぐコーンスープがくるからの。

おいっ!コーンスープふたつ追加だ!!はやくせんか!・・・んっ、どれお嬢ちゃん、安心しなさい。わしの近くにいる限り誰にも手出しはさせんからのう」


「おじさまもおつかれさま。私たちはナーミルさんのおやしきの中にいたからそれほどでもないよ。それに、ナーミルさんにおじさまの場所をおしえてもらったからね」


「え、あの、はじっ、めまして」


「あんたは・・・ミシ長老!なんでこんなところに!」


「・・・はじめまして長老。俺はビャルネ」


「おっ、ミシじいさん!ひさしぶりだな!」


「アントニー、ミシ長老と知り合いだったのか!」


「チャールズはあってなかったのか?オラは東の酒場であったんだ」


「AとC、すこしうるさい」



 ミシおじさまは南の街長に会いに行って東から出たのだ。私も他の街長に用事ができ、ちょうどおじさまが向かった南の街長の所に向かったのだ。あわよくばおじさまと、南の街長に話をつけるつもりだった。だがすれ違ってしまったようで、ナーミルにおじさまのいそうな場所を教えてもらったのだ。

なにはともあれ、おじさまに会えてほっと一息ついた。話したいこともあるし、リーヴィの所に一緒に行きたかったのだ。



「なに?ナーミルの所か?あやつの所に行ってきたのか!何かされたか!?・・・あの女狐め、ノンノに手出ししてたらただじゃおかんぞ」


「いやいや!なにもされてないよ!なにかさわぎがあると、この後がメンドウになるからおさえておさえて」


「しかし・・・いや、ノンノよ。よく無事にあやつの所から帰ってきてくれた。だが一声かけてからでも遅く無かったろうに」



 まぁ、何もされなかった…訳じゃないけど。それでも、今後手伝ってくれるのに、私のいるミシおじさまの所と喧嘩をされると困ることになる。ナーミルは大事な戦力であり、まぁその、悪い人じゃないし。できればおじさまと仲良くしてもらいたいのですが。

しかし、おじさま本当にナーミルと仲が悪いんだね。まぁ、いい人と言い切れないのが何ともね。

すると屋台の奥からクマの様な図体の恐ろしい顔の大男がスッと出てきた。


「おい、新人が怖がってんだろ・・・殺すぞジジイ・・・コーンスープふたつおまちど。そこの三人にはおでんだ・・・ゆっくり食え、熱いからな」


「おっ、メグか。すまんの、アントニー達もほれ。支払いはわしがするからの」


「じいさん!ありがとな」


「長老、いただきます」


「はぁ、チャールズです。いただく・・・ます」


「ところで、メグってかわいいなまえの人はだれ?」


「俺だ・・・正確には巡乃武(めぐのぶ)って言うんだが・・・」


「やだ!いかつい」


「あっ、ありっ、あ、りがと、ございます」


「メグも人の事いえんでないか!」


「ジジイが新人怖がらせたから・・・出てくる羽目に、なったんだがな」



 なんか、こんなに騒いで囲んで、楽しく食べるなんて生前の私では想像がつかなかっただろう。いつも学校では一人で食べてた記憶しかない。家族とくらいしか大勢で食べる事はなかった。いや、食べようとしなかったのかな?今思えば。人と関わらないって信条とかはないけど、一人の方が気楽であった。たまには一緒に食べていたが、本当にたまにだった。自分から話しかける事もなかったからクラスでは浮いていて、教師からは大人しく優しい子と評される様な人物だったはず。

生前生前って、未練がたらたらしてんな。まぁ、観たかったアニメやドラマ、映画もごまんとあったし。それに、家族の事も心配だ。…火葬されてるよね?鳥葬とかじゃないよね?



「さてと、本格的に暗くなってきたわい。ノンノ、お嬢ちゃん、帰るぞ」


「はい!おじさま」


「え、え、あの・・・」



 少女は違和感を感じているのだろう。服でほとんど隠れているが、袖からはみ出る程のみみずばれの痕や言動などからまともなくらしをしていないのは確かだ。急に帰る場所ができても実感がわくはずがない。心をひらいているのは同年代にみえる私くらいだと思う。信頼されているのだ、それに応えなきゃ元男としてのプライドが許さない。兄貴からは感情がないと何度も言われているが、それは断じて違うことをこの世界で証明してみせる。



「長老、お世話になりました。お気をつけて」


「じいさん!さみぃから風邪ひくなよ!」


「ミシ長老・・・ごちです」


「ABCたちもここまでありがとうね、ん、ナーミルさんによろしくねぇ」


「ははは、まだ俺たちの事そうよぶんだ、嬢ちゃん達も風邪ひくなよ」


「ジジイ、くたばんなよ・・・ひと嵐くるぜ」


「わかっとる、メグ・・・最悪の場合はここのやつらを引き連れて逃げるのじゃぞ」



 長かった一日が終わった。家にはアネゴやリーヴィがいて、暖炉や紅茶の用意をしていた。

少女は難なくここの住人達に受け入れられ、ミシおじさまがいる、この東の奈落街では誰も手を出さないだろう。

少女は相も変わらず戸惑っており、まだ受け入れられないようだが大丈夫だ。


 北と西の連中はおじさまとナーミルがこちらにいるので最悪の場合でも邪魔はしてこない。

準備は上々。あの奴隷商人は気に入らなかったんだ。ちょいっと痛い目にあってもらおう。

これで第一章は終わりです!

次からは第二章、ひとでなしVSひとでなしの始まりです!

読んでくれたみんなありがとうね!まだまだ続くからこれからもよろしくね!

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