道しるべ
街灯の明かりがぽつぽつとあるだけの夜の町を、その男は途方に暮れてたっていた。
男は夕方頃に、本屋に行こうと歩き出し、途中で見つけた小道を、近道になると思い入ってしまった。
行ったことのない場所を迷わず進むなど無理な話で、その男も迷ってしまい、気がつくと日はすっかり沈んでいた。
男は絶えず掘り起こされる後悔と不安に押しつぶされそうになりながらも、どうすればいいか考えた。
町の地図が貼ってある場所はなく、交番などもいまだに見つかっていない。本屋に行くだけなのでスマホなどは持っていかず、明かりの点いている家に助けを求めるなんてことはできない。何もできないまま街灯の明かりだけが強くなっていく……。
ここで男はある方法を思い付いた。街灯を辿っていく方法だ。明かりがあるということは、そこに多く人が住んでいるということ。その明かりを辿っていけば、大通りにでるかもしれないと考えたのだ。
早速男は街灯に沿って歩いていった。夕方の時は気がつかなかった街灯たちが、男を導いていった。
周りは真っ暗だが、道沿って続く街灯のおかげで、男は怖くなかった。
そのとき、突如暗闇から巨大な何かが襲ってきた。男は何もできずに、鋭い歯が並んだ大きな口に飲まれていった。
巨大なチョウチンアンコウのような生物は、頭に付いた街灯のような形の光源を垂らしながら、次の獲物を探しにいった。