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「妖刀、跋扈」08
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睨み合いが続いていた。先程から二人の衝突は少なくなり、間合いとタイミングを計っている。
「ふぅ……(そろそろ決めるか?)」
「……(トドメ、行ける!)」
一瞬の迷い。それを見逃さなかった十六夜は、陽の懐に突撃。
「はいはい!そこまで!」
木刀を突き刺そうとした時だった。
パチパチと手を叩く音と、若干怒気の含まれた声により、十六夜の攻撃は止まる。喉元ギリギリの寸止め。
「もう七時よ?早く帰って来なさい」
汗だくの顔で外を見てみれば、夜が近くまで迫っていた。
ここに来たのが三時前後、約四時間も十六夜とやり合っていたみたいだ。
「なんだ琉奈?今日もこのガキの家か?」
「ええ。今日は十六夜さんも一緒よ?」
「……俺様もか?」
口にくわえたタバコを危うく落としそうになる。
「色々あるの。色々、ね?」
「仕方ないか……勝負はまた今度だ」
「そういう事だから、陽君も早く戻るのよ?」




