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願い事
信じていいのだろうか。
まだ信じていない自分がいた。
だが、今は目の前に向かって行くことしかできず、立ち止まっていてはいけないと思い、一つだけ、一つだけならいいだろうと思い、少女に願い事をすることに決めた。
願い事をすると決まったらもう、願いたいことは決まっていた。
それは<記憶を取り戻すこと>だった。
まずは小さくてもいい。
自分の名前さえもわからない自分が嫌なのだ。
だから、危険な道なのはわかっていても、少女に頼ることに決めた。
「願い事はありますか?」
私が今まで考えていたことを見透かしたように少女が質問をしてきた。
もう私の願いごとは決まっていた。
「願い事は…」