暗闇
私の目の前は途轍もないほどに暗かった。
なんでこうなってしまったのかは全くわからない。
記憶がないのだ。
私はどこの誰で、果たしてどうやってこの暗闇に来てしまったのか。
どうして私の目の前には暗闇しか広がっていないのか。
それは何故なのかは全くわからないまま、行く当てもなく歩いた。
考えているのが辛かった。
だが、考えていないのも辛かった。
今は何よりも先に、何かにすがらなきゃいけないと思った。
すがろうと手を思いっきり暗闇の中で伸ばした。
でも、手はどこに向かって行っても何も掴むことはできなかった。
結局どのくらい歩いたのかはわからないが、どうやら道に抜け出したらしい。
だが、期待していた風景とは全くの別物で、暗闇の先に繋がっていたのはたった一つの道だけだった。
何があるかなんてわからなかったが、道を行くという選択肢しか残っていなかったので、ゆっくりとだが、着実と進んで行った。
道を突き進んで行くと森があった。
暗い暗い森だった。
また、暗闇の中に行くのか。
とも思ったが、何故か好奇心というものが心の奥底から這いずり出てきた。
行こうよ。行かなきゃいけないんだよ。
そうやって脳内に喋りかけられている氣がした。
誰なのかもわからない誰かに。
でも、私は、何でもいいから、誰でもいいから私を見つけ出して欲しくて森をさまよい歩いた。
するとそこには一人の少女がいた。