ボクサーVS武道家=?
「柔道部の方々、ありがとうございました。さて、次はボクシング部の皆さんです。」
姉貴のアナウンスに従って上裸の男達が舞台袖から出てくる。その中にはタンクトップを着た女性の姿も。
グローブをつけてるってことは選手なのかな?
等と考えていると女性がマイクを手に取り一歩前へ
「私の名前は西花 杏華! ボクシング部部長です!」
おお、部長なんだ。見たところ他に女性はいないみたいだし、部としては男女混合なのだろうか。その中で女性部長っていうのだから、相当精神的にもボクシング選手としても強いのだろう。
「えー、この中に最強になりたいと思っている人はいますか? もしそう思っているのなら是非ボクシング部へ! 誰にも負けない人間になれること請け合いです! 体格は気にしなくてオーケー! 根性さえあれば体格は筋トレで後からついて来ます! ボクシングは階級がありますし! それに、体格で負けていても技術さえあれば大抵の相手には勝てます! 事実、私は女で男子部員に比べると体格では劣りますが、スパークリングや試合でうちの男子部員に負けたことはありません! うちの男子部員達が弱いわけでもありません! 公式戦でも何勝かしています!」
公式戦で勝つ男に勝つ女……うーん、女体を言い訳に運動部に入る気のない俺に刺さる人物だなぁ……
しかし、男女の体格差がある上で勝つってのは相当だよなぁ。ボクシングって結構細かく階級別れてるんじゃなかったっけ? それってつまり体格が勝負にかなりの影響があるってことだよな? それで勝つって、化け物だな……
「私が実際にやっているように、女子部員も大歓迎です! マネージャーも募集中! 強くなりたい者はボクシング部へ! ありがとうございました! 体験入部だけでも来てください!」
礼をして撤退するボクシング部。今回は話だけで柔道部のようなデモンストレーションは無しか。
「ボクシング部の皆さん、ありがとうございました。次はーーー」
「すごいんだねあの人! 楓ちゃんのお兄ちゃんとどっちが強いんだろうね?」
雛ちゃんが聞いてくる。
「うーん、どうなんだろう。あに……お兄ちゃんが負けるとも思えないけど、あの人も強そうだしなぁ……」
いくらあの人が強くても兄貴が負けるとは思えない。ただあの人も強そうだし兄貴が勝つと言い切るのも難しいなぁって感じだ。
うーん……そうだ。
「直矢はどう思う?」
こういうのは専門家に聞くべきだ。
「そうだなぁ……正直どっちもどれだけ強いか知らないから何とも言えないが……柔道とボクシング、という競技としての面なら、シチュエーション次第でどっちが有利かはかなり変わるだろうな。」
「っていうと?」
「まず着衣の有無だ。着ていなくてもできる技もあるが、基本的に柔道の技というのは服を着た相手にかける前提でできてるからな。相手が上裸だったり掴める部分の少ない服だと柔道側は結構不利になるな。実際に戦うことになった場合、そんなことはボクシング側も分かっているだろうしその辺は整えてくるだろう。あとは立ち回り次第といったところか。お互い、自分の距離で戦うことができた方が勝つだろうな。つまるところ、一旦組めれば柔道が、組ませなければボクシングが勝つ、って感じだな。ただ、その面でも体格の差は出てくるしなぁ、体格でつく差は大きいと思うな。勇牙の腕の長さだとあの女部長の攻撃範囲の外から掴めるだろうし、当然力の差もかなりのもんだろう。女部長がどれどけ強いかと勇牙が打撃に対してどれだけ慣れているか次第だが、厳しい戦いになるのは間違いないと思うな。」
「なるほどー……詳しい解説ありがと! 直矢君って何か格闘技やってたの?」
と雛ちゃん。
それ俺も知りたい。なんかやってるらしいけどなにやってんのかいまいち知らないし。
「うーん、一言で言うなら古武術、ってとこだな。柔道をベースにして空手やら合気道やらを詰め込んだ感じのやつ。というか柔道も空手も合気道もベースになるからって全部やらされたな。剣道とかもやったし、多少ならできる。八極拳もやったな。まあ要するに武術全般ってトコか。弓道は流石にやったことないが、逆にそれくらいしかやってないものが思い付かん。」
「へぇー……」
道理で強そうな訳だ。
「ーーーサッカー部の皆さん、ありがとうございました。次の部活はーーー」
「なんか話してる間に色々進んじゃってるね。」
まあサッカーは特に興味ないし聞き逃しても別にいいかな。
「ラグビー部の皆さん、お願いします!」
姉貴のアナウンスと共に
「お前ら、行くぞ!」
「「「ウオオオオオ!!!」」」
ゴリラの集団がやってきた。
無事退院しました! 病気が完全に治ったわけではないのですがとりあえず退院しても大丈夫という感じです。
これからは今までと同じように毎週土曜日に更新するつもりなのでよろしくお願いします!




