漫画と姉貴とオシャンティ空間
雑談しているうちに本屋に到着した。
「えーと漫画のコーナーはどこだったかしら。小説のコーナーはいつも行ってるから分かるけど、この本屋さん、広いから普段いかないところはすぐに分からないわね……」
「入って少し行った左の方。こっちこっち。」
確かにこの本屋は規模が大きいから俺も普段いく漫画のコーナー以外はサッと行ける自信は無いなぁ。
「えーと、あったあった。おっ、これも遂にアニメ化かぁ。まあ面白いしなぁ。」
好きな漫画が有名になってアニメ化したりするのは嬉しい。時期が近くなったら録画しようっと。
折角だから他の漫画も見ていこうかと思ったけど今日は姉貴もいるし何よりそんなにお金がないからやめておこう。
「へぇー。それ、どんな話なの?」
姉貴が表紙を覗き込む。今回の表紙は主人公がヘルメットを取って空を見上げるカットだ。
「えーっと。ジャンル的には近代風SFって感じかなぁ。巨大なアリとかクモとかが宇宙から侵略してくるんだけど、そいつらから地球を守る軍隊の話って感じかな。武器の設定とかが細かいし、バトルシーンが迫力あってカッコいいんだよね。」
「うーん、あんまり興味湧かないわね……」
「まああんま女の人は読まないよねこういうの。虫だし。」
そういえば女性は全体的に虫が苦手なイメージだけど今の俺はどうなんだろう。絵でもダメっていう人とかもいるけどそうなってたらコレ読めないし困るなぁ。
「そうねぇ。今はあなたも『女の人』に含まれるんだけどね。ここならまあいいけど、これから学校通うんだから、気をつけなさい。」
「あー、そうだった。気を付けるよ。小説のコーナーはどっちだっけ?」
姉貴と同じように俺も小説のコーナーがどこにあるのかあまり知らない。
別に小説も読まないわけじゃないけど大体友達から借りたり家にあるの読んだりだから、よく考えるとココで小説買ったことはないかもしれない。道理で分からないわけだ。
「小説のコーナーは二つあるんだけど、推理小説が置いてある方は二階よ。階段はこっち。」
姉貴の案内で普段行かない方へ。
「え、ここ二階あったんだ、初めて知った。」
表から見ても二階部分はカフェみたいな感じだった気がするけど……
「まあ二階は本が売ってるスペースは半分で残りはカフェスペースだからね。私、休日はたまにここで本を買ってそのまま上で本を読んだりするときもあるのよ。あそこのコーヒー安いのに美味しいのよねー。」
「へぇー。」
なんとも優雅というかなんというか。姉貴、美人だしすごい絵になりそうというかなんというか。
階段を上がると、確かに半分書店で半分カフェだ。全体的に落ち着いた感じで大きな窓に面した席で本を読んでる人もちらほら。ものすごいオシャレ空間。あんまりこういう漫画を持って入りたくはないな……
「えーっと。あ、これこれ。推理小説の後半程気になるものも無いわよねー。早く続きを読みたいわー。」
目当ての本を持ってそのままカフェのレジへを向かう姉貴。
「ここのカフェ、経営してるのは本屋さんと同じとこだから、ここでそのまま会計できちゃうのよねー。カフェの商品も割引になるし、お得よー。」
「へぇー、そうなんだ。」
流れで会計せずに漫画持ってきちゃったけど下で会計済ませとけば良かった。オシャレ空間すぎてかなり買いにくい……今回の表紙は敵のアリやらクモやらが写ってないのがせめてもの救いか。
「あ、それ一緒に買ってあげるわ。貸して。お金も出してあげるわよ。」
それは色々とありがたい!……けどなんだか服の事やらなんやらで色々してもらいっぱなしで少し悪い気もするようなしないような……
「いやー、なんか悪いなぁ。色々やってもらってるし。」
やらなくてもいいこともやってる気もするが。
まあそれは置いておいて単純にお金の話でも姉貴バイトとかしてなさそうだし、小遣いも殆ど俺と変わらなかった気がするし。
「そんなに気にしないで。ここだけの話、叔父さんから生徒会絡みでお小遣いもらってたりするから、お金は問題ないし、あなたの世話は私が好きでやってるわけだし。それに、こういう機会があったら可愛い可愛い妹にいい顔したいって思うのは当然じゃない?」
デレッとした顔で言う姉貴。なんだか色々考えてたのが少し馬鹿らしくなってきた。
「……じゃあお言葉に甘えて。」
「それでよし。素直が一番。あ、コーヒーと紅茶どっちがいい? 折角割引になるし、飲んでいきましょ。ここのは美味しいのよー。」
店員に商品を渡しながら姉貴が聞いてきた。
「あー、んー……」
確か味覚が変わるかもとかなんとか言ってたよな……
「紅茶で。」
「はーい。じゃあ紅茶とコーヒー一つずつお願いします。」
お久しぶりです。約9ヶ月ぶりの更新です。いやホント鈍足も鈍足の超鈍足更新で本当に申し訳ないです。正直、今までモチベーションが0に近かったんですが、久々にログインして更新待ってますとメッセージ等が来ているのをみてモチベーションが、こう、ググッと。来ましたね。やっぱり更新を待ってる人がいると思うと書かないわけにいかないですね。更新待ってますと言われなかったら多分今日の更新は無かったです。改めて、ありがとうございます。自分の作品を待っている人がいる、というと少し大げさなのかもしれませんが、そう思うと書く気が起こります。
この先、今まで以上に忙しくなると思うので、書ける時間は更に減るとは思うのですが、自分の作品を読んでくれている人がいる、ということを意識して、書けるときは書いていこうかなと思います。




