やはり姉貴は変態である
「中で何があったの!? 大丈夫!? 何かされなかった!?」
案の定、外に出た瞬間姉貴が心配して来た。
「大丈夫だったか楓!」
ついでに兄貴も。
「ちょ、姉貴、どさくさに紛れて服脱がすな! 大丈夫だったから! むしろ今のほうが全然大丈夫じゃないから!」
かなりパジャマがはだけている。
直矢だっているのに……
「そうですよお姉さん、もっと落ち着いて。いいぞもっとやれ。」
澄也が形だけ嗜める振りをしてから、真面目な顔で言った。本音を丸出しにするんじゃねぇ!
「直矢頼む!」
「おう。」
「あべしっ!」
「そうよね……よし、下着は部屋で……詳しい話は私の部屋で……」
「今なんて!? 部屋で何するの!?」
「大丈夫よ、生まれたままの姿になるだけだから。」
「それダメだよ!?」
かなりマズイよ!?
「大丈夫よ。」
「姉貴鼻血出てるよ!?」
鼻血垂らして真面目な顔で言うのやめて欲しい。
「大丈夫よ、これくらい。」
「いや、ドパドパ出てるよ!? 兄貴、ちょっと姉貴なんとかして!」
「おう! ほら姉貴、やめろ! 羨ましいだろうが!」
兄貴が姉貴を取り押さえる。
「ふん! これは女の特権よ! 男がやったら犯罪だもの!」
「いや、姉貴は男より犯罪だ! だから俺が……!」
向かい合って睨みあう二人。
……逃げようかな。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふぅ……」
なんとか部屋に逃げ込んだ。きっと姉貴達は来ないはず。
どうしよ……寝ようかな。
と、考えていたところにメールが。
『送信者:剛
タイトル:無題
本文:今日の話ってやっぱマジだよな?』
まあ、疑いたくもなるよなー……
『送信先:剛
タイトル:無題
本文:マジ。』
と返信。
すぐに電話がかかってきた。
『もしもしー? メールメンドいし、電話にするわ。』
『分かったー。』
『でさ、やっぱマジかぁ……身体能力とか落ちてんの?』
『ガタ落ち。走れねぇもん。』
『マジでか。バスケできねーじゃん。』
『仕方ねーだろ。まあ、やろうと思えばなんとかなるんじゃねーの? 最高神に頼んだりすりゃ。』
『あいつならいけるか。』
『いけるいける。俺の体を変えたのもあいつなワケだし。』
『だよなー。じゃ、また今度やろうぜ。』
『おう。』
バスケ、なぁ……そのうちまたやりたいかなー。
『てかさ、入学式っていつなん?』
知らねえのかよこいつ……
『……金曜だよ。明後日だ。今週は入学式だけで終わるらしい。』
『へぇー。すぐテストとかは……ないよな?』
『多分。まあ、あったとしても、結果が悪くてもなんとかなると思うし。』
『だといいけどなー……』
『大丈夫だろ。』
『あ』
『いきなりどうした?』
『俺……もしかしたら、女子……てか女のメアド始めてかもしれねぇ……』
『俺女子じゃねぇぞ……?』
男だぞ……? 精神は。体は……まあ、うん。
『お前が女子じゃなかったら何が女子なんだ!』
『いや……うん。精神普通に男だぞ?』
『いや、お前女子だろ。今日一緒に過ごした感想からして。映画の時とかヤバかったぞ。』
『言うな……』
『てかお前ホラー得意じゃなかったっけか?』
『……そう思ってアレにしたらめっちゃ怖かった。この体になったせいっぽい。』
『へぇー……そういうのも変わるのかー……』
『らしい。』
『大変だなー。』
『そうだなー……まあ、なんとかなるだろ。直矢達、かなり頼りになるし。』
『へぇー。まあ、あんな身体能力高きゃな……なんだあのチートは……』
『まあなー。あいつらに守られてると、何があっても助かりそうな気がする。』
日本が沈没してもあいつらは生き残る気がする。そして俺も助けてもらえる気がする。てか、神が味方にいたら本当に何があってもなんとかなるな……最高神がやる気になったら絶対大丈夫だろ……
『確かになぁ……』
『あいつら、ホント半端ねぇから……』
『そうだな………………なあ、話変わるんだけどさ……』
『ん?』
『…………マジで覚えてないの?』
『……何が?』
覚えてない……最高神に消された記憶のことか?
『……覚えてないならいいけど。』
『え、何が? 最高神絡みの話?』
『や、違う、覚えてないなら大丈夫だ! じゃあな!』
『え、ちょ、え―――』
切られた……え、なんだろ、めっちゃ気になる……
……次会ったら問い詰めてみるか。
それにしても、話してたら結構遅くなっちゃったな……とりあえず、もう寝よっかな。明日は何するんだっけ……あ、制服の試着するんだっけか……面倒臭いなぁ……
ペタッ、ペタッ……
「……?」
何か足音が聞こえる。
次は8日~




