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お袋もテンションが上がると大変だ……

「持ってきたよー!」


「……おい、幸、一応、俺は男なんだぞ? 女の子が自分のパンツをぶんぶん振り回すんじゃない。」


「いまは女の子でしょ?」


「そうそう、女の子同士だからOKよ。」


「そう、楓は女の子、フフフ……」


もう、どこか違うところに行ってる姉貴は無視だ! 知らないぞ!


「いや、俺は男だ!」


「じゃあ、戻れるの?」


「う……」


痛いところを突かれた、確かに戻れないだろうな……


「戻れないんでしょう? じゃあ、女の子として生きなきゃ。」


……確かに正論だ、言い返せない。

でも、認めたら駄目な気がするんだ!


「……でも、精神は男だ!」


「でも、体は女の子でしょう? とりあえず、はきなさい。」


「うう……」


もう死にたい。


「うなる姿もかわいい!」


姉貴が戻って……来たのか?

いまだに違うところにいないか? 違う世界の住人だよな?


「そうそう、だからはいて!」


だからぶんぶん振り回すんじゃない!


「分かったよ。幸、はくから貸してくれ。」


「はい!」


しかたない、はこう。滅茶苦茶抵抗あるけどはこう。何か大事なものが絶賛崩落中だが仕方ない、はこう。


「これはサイズ合うよ。で? これからどうすんの? 腹減ったから、朝飯食いたい。」


正確には朝飯兼昼飯だな。


「そう、じゃあとりあえずパパッと決めましょうか。とりあえずサイズを……」


「私が確かめるわ!」


姉貴が立候補。来るなよ。怖いよ。鼻息荒いよ。


「えーと……質問してよろしいでしょうか?」


「いいわよ?」


「どうやって調べるのかな?」


「無論揉んで調べるわ!」


逃げる! 逃げるよ! もうこのままでいいから!


「はい、待った!」


お袋に止められる。


「楓にはまだ揉むのは刺激が強いと思うから、お母さんが目測で測るわね。」


俺の胸をまじまじと見つめるお袋。

なんかあまり見られるのって嫌だなあ……顔が赤くなってくる……

てか、胸揉むとそんなに刺激強いのか!? 絶対嫌だぞ!?


「えー……まあいいわ、そのうち……」


フフフと笑う姉貴。

怖いんですけど……


「うーん、光花、昔のを持ってきなさい。流石に光花と同じではないみたい。」


「ラジャー!」


出たな!

最大の難関め!


「持ってきたわ!」


早いわ!


「じゃあ……付け方分かる?」


「分かりません!」


分かるわけないでしょ? 分かったら駄目だって!


「じゃあ、教えてあげるわ、まず、こうやってね……」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


つうわけで、散々な目にあった俺は下着とパジャマの上着だけで座らされていた。


「さて、これから楓着せ替え大会を開会します!」


お袋、何を開会してんだ!? おい! やめろよ、そういうの! 開会するなよ! 今すぐ閉会しろよ!


「やったー!」


「楓を可愛くしよう!」


「ちょっと待った! とりあえず飯が先だ! この際、着せ替え大会とか言われても突っ込まないから、とりあえず飯!」


「……よし、緊急会議!」


「了解しました!」


「ラジャー!」


なにやらお袋の号令で会議が始まった。

部屋の隅で何か話している。


……暇だなあ、てか、いつまでパン一でいればいいんだ? 暖房効いてるからいいけど、効いてなかったら寒いぞ? まだ春はもうちょっと先だよ? 廊下寒いよ?


「よし、じゃあこうしましょう!」


「何さ?」


「ご飯食べたら抵抗せずに今日一日、私達の着せ替え人形となる事!」


ええー……


「嫌だよ!」


「なんで?」


幸が聞いてくる、


「だから、俺は女物の服なんか着たくない!」


「じゃあ、ご飯食べずに今から着せ替え人形になる?」


「どうやったらその選択肢が出て来るんだよ?! ていうか、姉貴はパンツを覗くな!」


「だって、こんな可愛いんだから、可愛くしないと!」


そのセリフさっきも聞いた気がするぞ? てか、姉貴は無視したまま覗くんじゃない! にやけるな!


「で、どうするの? お姉ちゃん。」


幸はもうお姉ちゃんで定着か……

やめて欲しい……


「それは、どっちかならとりあえず飯食いたいけど……」


「じゃあ食べてから着せ替え人形でいいわね!」


「なぜそうなる!」


「さあ、行きましょう!」


「ちょっ! このまま行くのか?!」


「じゃあ……光花、いいのある?」


「これなんかどう?」


「絶対嫌だ! それならこのまま行く!」


姉貴が出した服はふりふりのメイド服、あんなもの着るなら、このまま行った方が百倍マシだ!

てか、どこから出したんだよ!?


「えー、絶対似合うって! だから、ほらほら。」


姉貴がぐりぐり押し付けてくる。


「嫌だ!」


「お母さんもいいと思うわー! 着たら絶対かわいいわよ!」


「幸もそう思う!」


「嫌だね! そんなの着るくらいなら俺は死ぬね!」


「よし、緊急会議!」


はい、本日二回目の緊急会議です。


ったく、腹減ったよ……


「決まったわ! 楓、この服を着なきゃご飯は食べさせないわ!」


んだとぉ?!

どうする、いくらメイド服が嫌だっつっても、腹の減りもすごいし……

背に腹は変えられないとは言うけど、メイド服に腹は変えられるのか……?

もう嫌だ! 強行突破だ!


「はいはいー、逃げちゃ駄目よ?」


……おふくろに軽く止められた。

ここはもう、幼稚園から封印してきた『あれ』を出すしかない! この姿なら破壊力抜群のはず!


「もう嫌だっつーの! 腹減ったぁ! 飯! 飯! 飯ぃ!」


そう、駄々をこねるぞ! ていうか、理不尽なのは向こうだ!


「え? あの、えっと……」


お袋がオロオロし始めたぞ!?


「え? その、そんなに泣かないで、楓! ごめんね? もういいから、いいから泣かないで!」


姉貴もオロオロし始めたぞ!?

これはもしかしていける!?


「あの、その、ごめんね? お姉ちゃん!」


幸もだ!

これならいける!


「飯ぃぃ……」


「えっと…… じゃあ、何着ていく? その格好じゃだめだから……」


「……ジャージでいい。」


あれでいい! むしろあれがいい!


「そんなのでいいの?」


「うん、ジャージがいい。」


「じゃあ…… 光花、ジャージ出して?」


「はい。」


さっとジャージを出してくる姉貴、しっかり整理してるんだなぁ……

姉貴は今までの行動からするととてもそうは思わないだろうが、結構しっかりしている。頭もいいし、運動も出来る、しかも美人、才色兼備というやつだ。

これが無ければ完璧なのに……


ともかく、差し出されたジャージを上下で着る。全然サイズが合ってないけど仕方ない。


「……腹減った。」


「下にご飯用意できてるから、今から持ってくるわね?」


「いいよ、下でずっと放って置かれてる親父がかわいそうだから、俺が下に行くよ。」


「分かったわ、行きましょう?」


「うん。」


姉貴と幸が無言で付いて来る。反省してるんだろう。


「どうした? 上でバタバタしていたみたいだが…… ん? 泣いてたのか? どうした?」


「……なんでもない。」


今はもう反省してくれてるから、わざわざ言うことないし。


「そうか、それにしてもよくその格好でOK取れたなあ、大変だったろ? よしよし。」


親父が頭を撫でる。

普段なら逃げるところだけど、今はなんだか安心できる。久々に親父のよさを感じた気がする。

流石親父。


さて、親父が慰めてくれたことだし、いつまでもすねてても仕方ないから、通常運転に切り替えますか!


「腹減った!」


「はい、ご飯と目玉焼きとベーコン! ご飯のおかわりは言ってね?」


お袋も通常運転に戻ったらしい(この場合の通常運転は俺が男のときのって意味で)


「ありがと、頂きます!」


とりあえず目玉焼きにケチャップをかける。

で、白飯と一緒に口に放り込……めない口ちっさい!

仕方ないのでちょびちょび食べる。

いつもは10秒で目玉焼きを食って、ベーコンを食べ始めるのだけど、目玉焼きを食べるのに5分もかかってしまった。遅くなったなあ……

それに、味覚も確かに変わった。何か、こう、味を濃く感じるようになったし、あまりしょっぱいのを美味しく思わない。


その後にベーコンを食べる。ぜんぜん口に入らないので、ゆっくり食べてると……


「たっだいまー!」


兄貴が帰ってきた……

次は21日です!

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