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変態な姉を持つと苦労する!

光が俺を包んだ。

 

体を起こしていただけだけど、目線が低くなった気がする。それに、頭が重い。


「これは……」と直矢(がたいのいいの)


「うわあ……」とエディ


「うおぉ?! 結婚してください!」と澄也


「えーと、そんな変わった?」


声も違う。

高くなってる。

完璧に女の声だ。


「変わった変わった! だから結こブフゥ!」


……別に今回俺はなんもしてないよ?

蹴ったりとかしてないよ?

ただ、勝手に澄也が鼻血噴いて倒れただけだから。


……ん? 鼻血?


よく見ると直矢は目線をそらして少し顔が赤くなっている。


これは……


「どうしたんだよ?」


「え? いや、そのー、さっき服がぶかぶかだって話してたのは知ってるか?」


「え? ああ、うん。」


澄也がエロくてなんたらって……あ。


「……なるほど。」


やっと分かった。

要するに、服が大きすぎるから、胸元とかが以下略な事になっていると。


どんなかな?


……確かにすごいね、まずい事になってる。だって、決して小さくは無い胸が半分出てるからね、あとちょっとで見えるよ。そうじゃなくても綺麗な白い肌が大胆に見えちゃってるよ。


「これは……隠した方がいいのかな?」


「……そうだな、目のやり場に困る。」


どっかの馬鹿は鼻血噴いて幸せそうな顔で失神してるしね。


かけ布団で体を隠す。


「それはそれでアレだけどな。」


分かる、分かるよ、うん。分かるけど仕方無いじゃないか。


「そうだ、自分の姿を一回見ればいいじゃないですか! 姿見、出しますねー。僕達、外に出てるので。」


澄也を引きずって部屋を出て行く直矢とエディ。


「どれ……?」


エディが神様の力で出した姿見を見る。


絹のようなキラキラした銀髪、雪のように白い綺麗な肌、宝石のように澄んでいて大きい碧眼、整った顔、華奢な体。そして胸にはわずかな膨らみがあり、この体が女であることを主張していた。

正直、相当な美少女だ。すごく可愛い。そして、着ている服が大きすぎるので色気もある。頬が熱くなってきた……これが……俺……?

改めて疑問に思う。これは夢ではないのか、と。これは本当に自分なのか、と。


「……」


試しに頬をつねるが普通に痛い。どうやらリアルな夢のようだ。


「どうだ?」


ドアの向こうから直矢が聞いてきた。


「……率直な感想を言うと、滅茶苦茶可愛い。……これ、俺?」


「……ああ。入っていいか?」


「いいよ。……これからどうしたらいい?」


「うーん、とりあえず家族へ報告だな。後々俺達が補助することも考えると、全部包み隠さず話した方がいいと思う。俺達が話すか? 自分で話すか?」


包み隠さず……は嫌だね。俺の家族は変人が多いから。


「俺の意思はなしに変えられた事にする。絶対変な誤解を生むから。話は俺がするよ、多分あんたらが話すと話がこじれる気がする。」


まあ実際無いに等しい気もするが。


「……分かった、そこらへんは好きにしてくれ。俺達はここで待機した方がいいか?」


「いや、いいよ。」


「そうか、じゃあちょっと上に報告してくる。エディ、行こう。」


「ふぇ? あ、はい。」


「こいつは……ここにおいといても迷惑だよな。連れてくか。あ、掃除するな。」


直矢が手をかざすと血の染みが消えていく。便利だなあ。

その後に澄也を背負って消えた。


「さて、どうしますかねえ?」


自分で説明するとは言ったものの、曲者だらけのうちの家族がどんな反応するか予測が付かない。

どんな家族かっつうと……

兄貴は――馬鹿で変態。ブラコン(何故か俺にことあるごとにかまってくる)&シスコン(妹がいる)というどうしようもない野郎。

姉貴は――おそらく百合。てか、可愛い子を見る目が完璧におっさんの目。

妹は――普通……だと思う。結構お兄ちゃんっ子だと思う。

親父は――普通の人……だと思う。

お袋は――こんな変人だらけの家族を統べる超人、表面上は普通の人だけど、羽目をはずすと一番厄介。


……きついだろ?


うーん、ここは女になった事に気付いていない振りで……いや、なるべく事実を話そう、うちの家族はお袋を筆頭に全員、無駄に勘が鋭いからな、ばれたら面倒だ。


じゃあ、起きたら天使がいて、説明もそこそこに女にされた、ってことでいいか。よし、行こう。


っと、ここで俺のうちの構造を説明しておこうか。うちは一軒家で、一階にリビングと風呂があって、二階にはそれぞれの部屋がある。

今はもちろん俺の部屋、二階だ。今、家には親父、お袋、さち(妹)、姉貴(光花みかという名前)が一階にいて、兄貴は部活だったはず。

よし、行くなら今だ! 兄貴がいるといないじゃ全然違う。


トントントンと階段を下りる。体重が軽いからかあまり足音が立たない。


うちは二階から一階へと降りると玄関とリビングへの扉が見える、今行くのはもちろんリビング。


「えーと……おはよー。」


「!?」と親父

「……あら?」とお袋

「おはよー……って、誰?」と幸

「……可愛いわね。」と姉貴


最初に次のアクションを見せたのはお袋だ。

さすがだね。


「……もしかして、かえで?」


そうです、俺の名前は楓です。

……女っぽいから、この名前嫌いなんだよなあ……

まあ、今の状況だと、この名前のままでいいからラッキーかな?

でも何故分かる?!


「よく分かったなあ、お袋、さすがだな。」


「やっぱり? 気配が似てたのよー! でも、なんで女の子になっちゃったの?」


ここでやっと周りが状況を飲み込めてきたらしい。


飲み込みが早すぎる来もするが。

てか、気配が似てるってなんだよ……


「お、お前、楓なのか?」と親父


「え? 何? お兄ちゃんなの!?」と幸


「楓なの!? 可愛くなって……ちょっとこっちに来ない?」と姉貴


「何でかっつーと、起きたら天使がいて、女に変えられた。」


お袋以外は華麗にスルー。四人と同時に話なんてできませんよ。聖徳太子じゃあるまいし。


「なるほど、納得したわ。」


納得するの!?

俺もあの説明で通るとは思ってなかったよ!?


「それにしても美人さんねー、まず服を着替えましょうか、そうね―――」


「いやいやいや、それで納得するの!?」


「え? だって、嘘ついてないでしょ? お母さん、分かるのよ?」


「まあ、そうだけどさ……」


確かにお袋に嘘ついてバレなかったためしがない。


「だったら着替えましょう!」


「いや、待てよ!」


「なんで?」


「だから、嘘ついてないとしてもいきなり息子が娘になって、天使が来たとか言ったら疑おうよ!」


「とりあえず着替えてからにしましょ? かわいい服、いっぱいあるわよ?」


そうか、俺、女物を着なきゃならないのか。今気付いた。

……嫌だぁぁ!! 死ぬほど嫌だ! 女物なんか着たくない! 全力で拒否したい!


「え? ちょ?! ええー?!」


お袋が引っ張る。

力が弱くなってるのか、抵抗できずに引きずられる。

てかお袋、俺の体重が軽くなってるとはいえ、ここまでぐいぐい引きずれるほど力強かったか?


「お母さん、ちょっと待った!」


おお、姉貴が動いた!


「何?」


助けてくれるのか?


「私も手伝う! そして楽しむ!」


なにぃ!?

まさかのお袋に加勢だと!?

そして楽しむ!?


……いや、姉貴の性格から考えると別に普通か。


「じゃあ、幸も!」


ここで幸もだと!?


「じゃあ、お父さんはここで待っててね。じゃあ、行きましょう!」


「え? いや、俺は女物なんて着ないぞ!?」


断固拒否!


「いやいや、折角可愛いんだから可愛い服を着ないとね?」


言いながらニヤリとする姉貴。

なんかこの人危ないぞ!?


「何!? 俺が女になった経緯はどうでもいいの!?」


「どうでもよくはないけど、今は楓の着せ替えの方が重要なの。だって、その服、それはそれでいいけど、やっぱりちょっと駄目でしょう?」


俺の服のほうが重要なのか……

まあ、確かにこの格好だとちょっと不味いことは分かる。


「いいこと言うね、お母さん! さあ、行こう?」


「そうそう、そんなぶかぶかの服駄目だよー!」


家の女性全員から一斉放火だと……?

だが、俺は負けないぞ!

抵抗を諦めるわけには行かない!

というわけで……


「親父、ヘルプミー!」


「いや、父さんもその格好は良くないと思う。」


一蹴ってやつですね分かります。

そんな事言わないで、助けてください……


「んなこと言わないでさー!」


「……一応娘とはいえ目のやり場に困る。」


「……」


まあ親父も、男ってことだ。


「ほら、観念しなさい。」


「そうそう、楽しんであげるから。」


「さあ、行こー!」


くそっ、お袋の言う通り、観念しなきゃならないのか?

てか、姉貴はセリフがおかしいだろ?! 楽しんでやるってなんだよ!? 怖いわ!


「うー……」


というわけで、うちの女達に引きずられ、担がれ、で来たのは幸の部屋。


「俺をどうするつもりだ!」


「どうしましょうかねー?」


顎に手をあてて考えるお袋

そういえば、言い忘れてたけど、お袋は結構な美人だ。歳は子供の中で一番年上の姉貴がこの春から3年だから、二十歳で生んだとしても37のはず。(なんで推測なのかっつーと、教えてくれないから。聞くと「秘密よ」と言って、笑うから。何でだよ!)なのに全く歳を感じさせない。見た目、25くらいだ。だから、当然その娘の姉貴や幸も美人だ。てことはまあ俺が女なら美人でもまあおかしくはないことなんだけれども。


「とりあえず服をがない?」


姉貴がニヤニヤしながら言う

なんだよ、その提案!?

とりあえずってなんだよ!?

てか、剥ぐって! もうちょいいい言い方あるだろ!?


「いいね、それ!」


幸も同意するんじゃない! よくないから!


「そうねえ、とりあえず下着を着せちゃいましょうか!」


下着!? 下着ってあれか!? ブラとかそういうのか!? 嫌だぞ!? 断固反対だぞ!?


「絶っっ対に嫌だ!」


「嫌だって言っても……しなきゃねえ?」


「ああ、拒否するしぐさがかわいい!」


「嫌でもするの!」


「嫌だ!」


「はいはい、じゃあ、お姉ちゃんのを借りましょうかね?」


「涙目とか……かわいい!」


姉貴だけ違う世界にいってる気がする……


「えー、お母さん、私のじゃちっちゃいってことー!?」


「だって、楓、案外大きいわよ? あ、確かめる?」


「そうしよう! 早速剥ごう!」


やめろぉ!? 剥ぐな!? 剥がれたら何か大事なものを失う気がするから!


「やめてくれぇ!」


「よし、ものども、かかれぇ!」


お袋ぉ、号令をかけるなぁ! そして姉貴は今日最高の笑顔で飛び掛ってくるなぁ!


「本当にやめてって!」


「ああ、可愛い! だけどお姉ちゃんね、手は止めないわ!」


そう言いながら俺のパジャマの下を脱がせる姉貴。ブカブカのトランクスはなんとか持ちこたえるが、トランクスが落ちるのも時間の問題。どうしましょう、隊長!……逃避するな! 逃避するな俺!

……なんか泣きたくなってきたんだけど……

泣いていい?


「あ、お兄……じゃなくて、お姉ちゃん、泣いてるよ! 涙目だよ!」


幸、言い直さなくていいから! お兄ちゃんって呼んでくれ……


「あら、何か悲しい事でもあったのかしら?」


あんたらが原因だよ!

っておい! パンツに手を伸ばすんじゃない!


「ちょっ! パンツはやめてくれ!」


「だって、そのままじゃ駄目じゃないの。」


「そうそう、男物のパンツなんて色気がないから!」


色気!? 俺には色気が必要なのか!? 何故に!?


「そうそう、さあ、脱いで!」


嫌だよ! あたりまえだけど、下はもうこれしか着てないんだぞ!?


「難ならお姉ちゃんが脱がせてあげようか?」


その方が難だよ!


「……脱がなきゃ駄目?」


一応聞いてみる。


「駄目よ。」


「上目使いかわいい! でも、脱がなきゃ駄目」


「駄目だよお姉ちゃん!」


満場一致ですか……

抵抗しても無駄か……


「……じゃあ、脱ぐけどさ、せめて自分で脱がせてください。」


真っ先に反応したのは姉貴


「じゃあ! じゃあ、早速脱ぎなさい!」


この人どうした? めっちゃ鼻息荒いんだけど……


「……その前に代えの服持ってきてくれよ。女の体になったとはいえ、その……女の前で素っ裸でいたくない。」


「それもそうねえ……光花、貸してやって。」


「いいわよ! ちょっと待っててね。今持ってくるわ。」


そう言って部屋を出て行く姉貴


逃げるなら今だな、お袋と幸だけでもキツいが、姉貴がいたら確実に無理だしな。行くなら姉貴がいない今だ!

でも、逃げたところでどうする?って事だよなあ……

この格好じゃ外に逃げていくわけにも行かないしなあ……

……あーもう、こんな事になるんだったらやっぱり女になるのを拒否するんだった!


「持ってきたわよ! さあ! そんなもの脱いで、これをはきなさい!」


姉貴が、そのですね……下着を持って戻ってきましたよ。

てか早いよ!? そんなに俺の服を剥ぎたいのか!?

てか……


「なぜに下着のみ?」


「だって、とりあえず下着を着せて、そこから着せ替えるんでしょう?」


「そうそう、だからとりあえずパンツをはきなさい。」


ああ……俺にはもう降参しか選択肢が残っていないのか?

……まあ、これ以上状況が悪くならないうちに降参しとくのが得策かな?

間違っても上を脱がされた状態でパンツを脱ぎたくはないし。


「……分かった、とりあえずはき替えるよ。」


諦めてはき替えますよ、はき替えればいいんでしょ? 何か大事なものが音を立てて壊れまくってる気がするけど、これをはけばいいんだろ? そうなんだろ?

もういいですよ、意地張ってもかないませんよ。

そして気は進まないが(進むわけないだろ!)差し出された姉貴のパンツをはく。


「……でかいんだけど。」


「じゃあ、幸のを借りましょうか。それはお姉ちゃんに返そうか?」


「じゃあ、持ってくるねー!」


そういえば、なんでうちの家族は元男の俺にパンツを見せることに抵抗がないんだ?

いや、元から開放的だったな……

幸なんか、たまに一緒に風呂入ろうとか言ってたし……

いや、入ってないけども。流石に中学の妹と風呂なんて入ってないけども。一個下の妹と入るのは流石にまずいからな。


「はい、返す。」


とりあえず脱いで姉貴に渡す。

元々はいてたのはどこだ……?


「俺のパンツは?」


「ん? この部屋に置いておくのは嫌だろうから、外に置いといたわよ?」


気がきくのはいいけど、困る……

しかたない、すそで隠そう。パジャマがでかいから見えないと思う。


「ああ、サイズが違うとは……いや、でもこれは楓がはいたパンツ……というか、すそで隠すとか……いい! いいわよ!」


はい! 問題です! 姉貴が壊れてると思うのは俺だけでしょうか!


「持ってきたよー!」

次は18日です!

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