兄貴の友達は熊さんだった!
今回も短いですねー!……反省します!
「死ぬかと思った……」
やっと恐怖の時間が終わり、兄貴の友達の家の前(らしい)で降ろされた。
もちろん、俺は腰が抜けて立てない。
だって、滅茶苦茶怖かったんだよぉ……
「いや、何で担がれて死にそうなんだよ。」
「とにかく怖かったんだよぉ……」
「……あ、そういえば……丸見えだ!」
兄貴が言う。
「へ?……あっ、ちょっ、あの、見ないで!」
慌てて隠す。
……降ろされてそのまま座ったから、丸見えだったらしい。
……あれ? じゃあ、もしかして……
「……二階から飛び降りたとこから……?」
「そうだな!」
グッと親指を立てる兄貴
「……そうだなじゃない! 早く言え!」
「いやー、そのうち言おうかなー、って思ってたら姉貴が来ちゃってさー、言うタイミング逃したって言うかさー」
「……直矢! やっちゃえ!」
「……この力を使うのは気が進まないんだがな……了解」
「えっ!? 何これ!? え!?」
直矢が手をかざすと、兄貴が後ろ手に縛られていた。
「……で、これをどうすれば?」
「うーん……投げちゃえ!」
「りょうかーい」
「いや、ちょい待ち、これはさすがにやばいって―――」
直矢は兄貴を縛っている紐に手を掛け……
「死ぬから! 死んじゃうかるぅわ?!」
ブウォウン!
「グボッ!」
とんでもないスピードで投げた。
……自分で指示したけど、兄貴可哀想……人外にお仕置きを命じちゃいけない……
「えとー……大丈夫?」
シャキーン!と兄貴復活! 紐も引きちぎった!
……なんなんだこいつ……
「大丈夫! 楓が心配してくれるだけで大丈夫になる!」
「……とりあえず立たせてくれない?」
いまだに立ち上がれない……俺って本当に情けない……
「また抱えて―――」
「遠慮しとく! 怖い!」
もう嫌だ……
「走らないけど?」
「どっちにしろ、あんな姿を見られるのは嫌だ!」
さっきも途中で何人かすれ違ったっぽい(何故っぽいなのかというと、あまり周りを見る余裕がなかったから)けど、すごい速さだったから、すれ違った人が何か思う前に通り過ぎたからまあ、問題無かった。
でも、あんなの見られたくない!
「そうか? まあいいけどさ。まあ、ほら、立ちな?」
兄貴が手を出してくるので、それに思いっきりしがみつく。
……こうでもしないと俺の弱い握力じゃ無理なんだよ……ってわけじゃなくて、兄貴の握力だけで持ち上がっちゃうんだけど、まだ全然足に力が入らないからさ……本当に情けねえ……
「ありがと……まだ力入らないから、掴まってていい?」
「全然いいよ! むしろ大歓迎!」
そう言われると掴まりたくなくなるのは何故だろう……?
「まあいいや、とりあえず呼ぼうか。」
言いながらドアに向かう兄貴
歩くの速い……てか、あれ? 何か結構でかいんだけど。 兄貴の友達の家結構でかい! 小さめの豪邸と呼んでもいいかもれないな……
「ちょっ、歩くの速い……」
「え? ああ、ごめんな。」
スピードを緩めてくれた。
……それでも頑張らないとついていけないけどね。本当に俺は何なんだ……
兄貴が慣れた様子でインターフォンを押す。
しばらくすると、なんだか厳つい人が出てきた。
……直矢なんか目じゃないよ、下手したら2メートル越えだよ……熊みたいだ。
高校生……じゃないよな? 兄貴の友達……?
「おう! どうした勇牙! ……ん? その子誰だ? それと、後ろにいるのは?」
……その子ってのは俺のことなんだろうなあ…… その子とか呼ばれると地味にへこむわ……
「この子はなー……俺の妹だ!」
「お前、妹一人じゃなかったか? 確か……幸ちゃん?だけだったよな?」
「そうなんだがな……なんと!」
「なんと?」
兄貴がバラしそうなので、服を引っ張ってこっちを向かせる。
(……バラさないでよ? バラすにしても、こんなに聞かれやすいところで言わないでね?)
(……あ、ああ、大丈夫だ、今さっきまで言おうとしてたとかじゃないぞ! 決して!)
……まあ、そういうことにしとこうか。
「まあ、中で話そうか。入っていいか? こいつらも一緒に。」
「もちろんいいさ、入れ入れ。」
「えっと、お邪魔します。」
兄貴にひっつきながら入る。
一応女の姿なんで、普段より少し丁寧に話そう。
……すぐにバラされそうだけどな!
「お邪魔しまーす。」
直矢も入ってきた。
中から見ても結構なでかさだぞ……?
うちも結構でかいと思うけどな……ここには負ける。




