神? いや、お呼びじゃないから
そう、よくよく考えれば、この時にこんな風にしなければよかったんだ。そうすれば俺は普通に「男として」高校生活を満喫できたのに……
◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうも、天使でーす!」
調子に乗った感じの男の声が聞こえる。
日曜の朝、毎週俺は昼まで寝坊する。
時間がもったいない等と言われても気にしない。
俺から言わせりゃ折角の朝にジョギングやらなんやらする精神が分からない、ベッドの上でだらだらしている方が幸せだ。
眠いから寝る、俺は睡眠欲に忠実なんだ。
だから、いきなり天使が押しかけてこようと動じない。無視して二度寝をする。
「おーい! 寝てんのかな……なあ、直矢、どうしたら起きると思う?」
「……まあ、とりあえず揺すりゃ起きるだろ。」
違う声が入ってくる。低くて落ち着いた声だ。
「OK、おーい! 起きろー!」
声と一緒に体を揺すられる。あーもー……
「嫌だ、うっさい、寝かせろ。」
言いたいことだけ言って毛布にくるまって眠りに落ちる。
ああ、日曜最高。
「嫌でも起きるんだ! 天使様がこれから君の人生設計について相談に来たから!」
人生設計? 確かに重要だが、そんなもの、朝の二度寝に比べたら全く重要じゃない。
日曜の朝に二度寝できないなら死んだ方がマシだ。大体天使ってなんだ。意味わからん。夢か。寝よう。いや、寝てるけど。レム睡眠よりノンレム睡眠をしよう。
「天使はお呼びでないので帰れ。」
「おーい! 夢じゃないぞー! 真面目に君の人生に関わるから!」
「うっさい、失せろ。俺は寝るんだ。」
睡眠 is 重要。夢 is not重要。
「うわ! 失せろとか言われた! これでも天使なのに……」
さて、うっさいのがいなくなったところで寝ますか……
「直矢さん、どうします? 澄也さん、撃沈しちゃいましたけど……?」
また違う声が。女の子の声だ。
「いつものことだ、放っといたら治る。おーい、真面目に人生に関わるぞ、人生変わるとかそういうレベルじゃなくて、これからの人生、ずっと付きまとう問題だぞ?」
それよりも今は寝ることが重要だ。夢にかまってる暇はない。
「うー、うっさい、勝手にしろ。」
「……よく考えろ? 本当にいいのか? 後悔しないならこっちで勝手に決めるけどよ。」
「後悔なんかしないから、静かにしろ。」
ここで寝ないほうが後悔すると思うし。大体夢の内容で後悔するなんて聞いたことない。
「参ったな……じゃあ、こっちで決めるか。」
「うっさいからどっか行け。」
「じゃあ、とりあえず外出るか、おら、行くぞ、好きにしていいらしい。」
「マジか!? じゃあ、俺の好みに設定していいの!? よっグフゥ……」
最後のグフゥは俺がうっさいのの腹を蹴ったから。
「ったく、こんなんで気絶しやがって、もう少し腹筋鍛えとけよ…… エディ、ワープ頼む。俺はこいつ持つから。」
「分かりました、行きますねー。」
やっと消えた……
さて、寝よう!
最初なので短いです。次は8日です!