オリヴァー・サックス
2012年12月31日
今年ももう終わり。
紅白を見ながら原稿を書いています。
いま、オリヴァー・サックスの著作にはまっていて、この正月休みに一冊読み切ろうとしています。
先日は「妻を帽子と間違えた男」を読みました。
著者は脳神経科医なのですか、本人自身も生まれつき人の顔を見分けられない症状を持っていて、ガンにより右目の視力がなくなるという苦悩を経ていまでも医者を続けています。
著者にも担当医がいるというのでかなり複雑な構造を呈しています。
医者というのはいろんな関係を築くものなのですね。
人間同士の絆のようなものを感じます。
もちろん、患者と医者という関係も興味深いですが、医者と医者という関係は仕事の関係以上のものがあって、おもしろいです。
医者を先生としてしか見たことがないので、プライベートがあるというのは新しい観点です。
まあ、ひとつの仕事なので、同僚がいて当然なのですが。
医者にかかるときは、たいてい患者自身が冷静ではないので、医者の気持ちなんてわかるわけありませんね。
私の普段の視点は患者から見た医師なわけですが、この著者の本では医師から見た患者なわけです。
反対から見るとどうなるのか。
興味深いです。
表題の「妻を帽子と間違えた男」は、文字通り妻を帽子と間違えて被ろうとした男の話が最初に載っています。
どういうことかというと、物や人の顔などを見分けることができなくなる病気を患った男が妻を帽子と間違えたという話です。
最初読んだときは、なに?と驚きましたが、この著者の本にはこういった症例がたくさんでてきます。
オリヴァー・サックスを知ったのは、English Journalというアルク出版の雑誌でインタビューされていた同氏の記事を読んだのがはじめてです。
そのときは本を読んだことがなかったので、へぇー、くらいにしか思いませんでしたが、後で気になって本を読んでみたら、欧米でベストセラーになっていると聞いて驚きました。
日本ではそれほど有名ではないのではないでしょうか。
脳の機能について専門的なことはわかりませんが、著者の視点は患者への愛を感じます。
原因が不明なことも多いのですが、なんとかしたいという感じ、医者としてというよりも、人としての愛情をとても感じます。
専門的な考察は医者なので難しいです。
ですが、症例など具体的な描写は珍しいものが多く、わかりやすく描かれています。
脳の不思議にふれてみませんか?