四
まず、黄泉が絵里子に連絡を取り、田辺の連絡先を聞こうと試みた。しかし、絵里子は田辺の連絡先を知らないとのことだった。
「あいわかった」
携帯を耳から離し、終話ボタンを押した黄泉は、祐二に向かって顔を振った。
空しく時間だけが流れていく。さて、どうしたものかと考えていたところに、黄泉の携帯が再び振動した。
黄泉は誰かと携帯の通話ボタンを押す。
電話をしてきたのは絵里子だった。
「なに? まことか!」
携帯を耳に当てながら、黄泉は周囲を見渡した。
「どうした?」
「田辺の連絡先がわかった」
祐二はちゃぶ台の上に紙と鉛筆を置いた。
黄泉はすかさず数字を紙に書き始める。
達筆の漢数字で書かれてはいるが、番号はしっかりとわかる。
絵里子も田辺のことを気にかけていたらしく、黄泉からの電話を切った後、色々と心当たりに連絡先を聞いていてくれたらしい。
「絵里子、忝ない! しからば御免」
丁寧にお礼を述べ、黄泉は通話を切った。
よくやったと、黄泉を褒めながら祐二はすかさず番号にかけてみた。
電話にでたのは、田辺の母親だった。
「明は具合が悪いって部屋に隠りっきりです」
祐二は心配で見舞いに行きたい旨を伝えたが、誰も会いたくない、家に上がらせないでほしいとのことだった。
「わかりました。先輩によろしく伝えてください」
祐二は失礼しますといい終えると、終話ボタンを押した。
「どうする、黄泉。無理矢理押し掛けるか?」
黄泉は首を横に振る。
「時間を置いたほうがよかろう」
田辺に会う手だてはこれ以上思いつかない。
八方手詰まりかよ――壁を殴りつけたい衝動を必死に抑え、大きく深呼吸をする。
「祐二、どうした」
「ちょっとコーヒーでも買ってくる」
今の祐二は、なにかしないと気分が落ち着かない。それほどムシャクシャしていた。
コーヒーごときで気が紛れるとは思えないが、無いよりはマシだろうと、玄関に向かう。
「しからばわしも参る」
いうと、黄泉は玄関に向かった。




