五
土曜の夕方だけはあり、転送されたメールは多かった。
黄泉は携帯メールの使い方がよくわからない為、祐二の携帯にメールの内容が転送される。
片っ端から当たるしかないということで、現場に向かい、二件が空振りに終わった。
そして今回三件目の現場に向かう。
待ち合わせ場所は渋谷、ハチ公前だった。
数分前に到着した二人は、周囲を伺った。
待ち合わせをしている風の男性は数人。
そのうち一人の男性がやってきて、携帯を開き、操作を始めた。
すると、祐二の携帯が鳴る。
「来た」
「ふむ」
黄泉が携帯をのぞき込む。
内容は今ついたという内容だった。
携帯を閉じたのは、現れたばかりの、スーツを着たサラリーマン風の男。
「いくぞ」
黄泉は小さく頷くと、祐二と腕を組んだ。
仕事でなければという妄想を必死に振り払い、祐二は男に接近する。
アベックを装い、二人は男性の横を横切った。
「!?」
黄泉はただならぬ気配に、一瞬身を振るわせた。
間違いない――黄泉は確信した。
この男こそ、悪鬼であると。
祐二も異変に気づいていたのか、緊張した表情を崩さない。
男から十分距離を取ったところで、祐二が囁いた。
「黄泉――」
「うむ、間違いない」
雑踏に紛れるようにして、路地裏に入る。
祐二が携帯を取り出した。
そしてメール機能を開き、すばやく操作を始める。
滝田に犯人を報告しているようだった。
「相手を断定できた。これからどうする?」
「奴が動くとすれば人目のつかぬ時間、場所であろう。そこに奴をおびき出す」
わかったと頷き、祐二は再び携帯を操作する。
そして、黄泉の指定する時間と場所を明記し、再度待ち合わせの連絡を取って欲しいと、滝田にメッセージを送った。
「お前のいう通り、指示を送った」
「あいわかった。ここからはわしがなんとかしよう」
祐二は自分が足手まといだということに歯噛みした。
自分の身の安全を思って言った言葉だとはわかっていたが、祐二にとって黄泉の言葉は痛く胸に突き刺さっていた。




