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「青春ってやつか」

 わざとらしく呟く声に、祐二は振り向いた。

 そこには額にゴーグルをつけた、トキオの姿があった。

 トキオは屋上の鉄柵に背中を預け、嘲笑している風だった。

「てめぇ!? こんなところで何してやがる!」

 掴みかかろうとする祐二の目を、何かが遮った。

 祐二が顔に貼り付いた物を手で掴み取る。それは大きな茶封筒だった。

「せっかくお届け物を持って来たのだが」

 祐二は中をのぞき込むと、書類のようなものが数枚入っていた。

 そのうちの一枚を引っ張り出す。

「戸籍謄本!?」

 驚くべき事に、その書類は黄泉の物であった。

「榊原 黄泉。俺の親戚の養子!?」

 黄泉の親の名前に、祐二の親戚の名があった。

 しかも、養子となっていた。

 残りの書類も見ると、住民票まであった。

「それはおまけだ」

 祐二は手にした書類を見ると、何かの問題集のようだった。

「なになに、竹川高校中途入試問題!?」

 ご丁寧に、日付は金曜になっていた。

「そういうことだ」

「ちょちょちょっとまて!?」

 背を向けるトキオを祐二が呼び止める。

「おめ、これって思い切り犯罪じゃねえか!? しかも俺の個人情報まで調べやがったのか!」

 背を向けたままトキオは肩を竦めた。

「ばれなければ犯罪とは言えない――だろ?」

 たしかに精巧にできているがと、祐二は書類を眺める。

 引越して、住民登録の際、お目にかかったことのある書類だったが、紙質や書式はそんな感じだった。

 もしかすると、本物と並べても見分けがつかないかもしれない。 

 いや、ばれようがばれまいが、お前のしていることは犯罪じゃねぇかと、トキオの言い訳を内心で否定する。

 しかし、裕二が納得できない理由はそれだけではない。犯罪というリスクを侵してまで何故、トキオは黄泉を高校に通わそうとするのか。

 裕二はその疑問をストレートにぶつけた。

「黄泉をこの学校に入学させるだと!? 何を企んでいやがるんだ!」

「企んでいるなんて人聞きが悪い」

 歩みを止め、トキオはちらりと祐二をみやる。

「僕はただ、君が何かに気になって、勉強に身が入っていないのを見かねただけだ」

 何が僕だと吐き捨てるが、祐二に返す言葉は見つからなかった。

「そういうことだ」

 トキオは背を向け、去っていった。

「ストーカーめ」

 祐二はトキオの背中に向かって毒づいた。


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