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 竹川高校。

 さほど有名ではない普通の公立高校だ。

 一年一組という教室では、国語の授業だった。

 祐二は壮年の教師が読み上げるテキストの文章を、聞き流していた。

 一応ノートに重点項目をかき込んでいく。

 祐二は教室では目立たないように、振る舞っていた。

 喧嘩をふっかけられないようにということもあるが、髪を染めないのはそういった理由もあってのことだ。

 しかし――学校に行くといつも黄泉のことが気になっていた。

 迷子になっていないか、昼はちゃんと食べているのかなど。

 そんな心配ばかりが頭をよぎる。

 授業を受けるのが鬱陶しくさえ思えてくる。

 黄泉、今頃何しているんだろう――などと考えながら、ふと窓に視線を向けた。

「!?」

 窓の外にはいる筈のない、着物を着た少女の姿があった。

 ちょっとまてまてと、祐二の顔から血の気が引いていく。

 クラスメイトに見つかり、祐二の知り合いで、ましてや同居しているなんて知れたら何を言われるかわからない。

 せっかく築き上げてきた平凡な学生ライフに危機が迫る。

 祐二はとっさに参考書で顔を隠すが時すでに遅かった。

 黄泉は祐二の姿を見つけるや、手にしている弁当箱を指さした。

 祐二は犬を追い払うように、しっ、しっ、と、手で拒否反応を示す。

 それを見た黄泉は手を腰に当て、頬を膨らませる。

 そしてズンズンといった感じで窓に近づいていき――ガラスに頭をぶつけた。

 ゴトンという鈍い音に、生徒全員が窓の外に注目する。

 窓の向こう側には、芝生に横たわり、目を回している黄泉の姿があった。

 おいおいおい、ガラスだってことぐらい解れよと、祐二は額を押さえていた。


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