弐
祐二はひものついた卵のような物を動かし、時折大きなそろばんをぱちぱちと弾く。
少なくとも黄泉にはそうみえた。
祐二から教えてもらったパソコンという物であったが、黄泉にはいまいち理解ができていない。
「できた」
そういいながら祐二は椅子をくるりと回し、黄泉に向き直った。
「いいか、探偵ホームページを作った。ここから仕事の依頼が入ってくる」
「?」
黄泉はわけがわからないながらも、四角い箱のような物をのぞき込んだ。
「こすぷれ探偵事務所――」
そう書かれた下には、着物姿の黄泉の写真があった。
下から撮影したのか、下着が見えそうなほど際どいアングルである。
「祐二! お主いつの間にわしの写真を!?」
しまった!? と、隠し撮りがばれたことに、祐二の顔が血の気を失った。
黄泉は祐二を睨みつけていた。
そして手を腰に当て、ずいと、祐二に詰め寄る。
黄泉は怒りのままに言葉を叩きつけた。
「写真を撮られると魂を吸い取られるのだぞ!」
「は?」
わしの寿命を返せと、黄泉は頭を抱えながらうずくまった。
黄泉が阿呆で良かったと、祐二は胸をなで下ろす。
黄泉の相手はそこそこに、祐二は出来上がったホームページを確認していると、どうやら書き込みがあったようだ。
「お! 早速か?」
マウスを動かし、掲示板を開く。
「なになに――とてもかわいいです。つきあってください。スリーサイズは? って、なんだこれ!?」
中には明らかにエッチ目的な書き込みも見受けられる。
やらせばかりかよと、祐二はマウスを放り投げた。
「なんと書いてあるのだ?」
のぞき込もうとする黄泉を阻むごとくに、祐二は体を張って画面を隠す。
「いいの! よい子は見なくて! だめだめだめ!」
「むぅ、うぅ――」
早速削除せねばと、祐二は下らぬ書き込みを削除していくと、一件の書き込みに目が止まった。
「是非仕事をお願いします。詳細はメールで――黄泉! 仕事だ!」
「まことか!?」
と、身を乗り出し、黄泉は書き込んである文字を読み上げた。
「ぜひ、僕と熱い夜を過ごしましょう。コスプレ姿のあなたを――」
「馬鹿! それ、違う!? その下だ!」
祐二は慌てながら、いかがわしい書き込みを削除した。




