冷たい朝
起きたらすごく空気が冷たくて
ああもしかして・・
思いながらカーテンを開けたら
今年最初の雪が降っていた。
窓を開けて手を伸ばすと小さな小さな白い結晶がいくつか手のひらに止まり
そしてあっという間に透明な液体に変わった。
その様子はなんだかとても切なくて少し笑った。
シンシンシンシンシンシン
静かに静かに、でも勢いよく、いさぎよく降り積もる雪をみながら少し救われた。
私は昨日あなたに会って、昔のことを思い出してしまった。
一人でしんみりして普段はあんまり飲まないウィスキーをちびちび舐めていたら
だんだん切なくなって最後には涙が止まらなくなってヒクヒクしながら泣いていた。
あなたと別れたあの頃、いろんなことがあったけど
私は平気なフリして通過してきた。
そして冷たい硬いものを胸の中に作ってしまった。
ずっと自分は平気なんだって信じていたのに
冷たいものは小さく砕けながらも私の体に埋まってしまっていた。
あの頃のあなたのさりげない優しさのおかげで
私は自分は幸せなのだと思えた。
だけどね
幸せって思いつづけることは
時に酷く難しいこと。
胸の中の塊が心を冷やす
自分から幸せを壊してしまいたくなる
すべてを拒絶したくなる
もう18なら分かってくれるよな。
そんな簡単な弁解で父親に捨てられた私。
納得したフリしてうなずいた惨めな私。
あの頃から胸の中の塊が幸せを拒んでいた。
今はまだ幸せとは言いきれないし
昨日の夜みたいにどうしようもなく悲しいこともあるけれど
それでも目がさめれば冷たい塊を認めて笑うこともできる。
それはきっとあなたがくれた、ミルクティーみたいなさりげない優しさを
ちゃんと知っているから。
今日は雪が降っていて良かった。
手にとった溶けてしまった雪で腫れたまぶたを冷やす。