暗黒帝国シャドーの襲来~逃げ延びる少女~
※この小説シリーズは、カードゲームを題材としています。なので、漢数字ではなく、アラビア数字を用いています。
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高校生デュエリスト「勇実勝利」が、「暗黒帝国シャドー」との戦いに巻き込まれていく!
ある日、勝利は1人の少女と出会う。彼女の名はリーフ。異世界からやってきたエルフだ。
リーフが暮らしていた世界は、シャドーによって征服された。彼女はシャドーの魔の手から逃れて、地球へ転移してきたのだ。リーフの目的は、シャドーを打ち倒せるデュエリストを探し出すこと!
シャドーは、カードゲーム「ゼクロス」によるデュエルでしか倒せない!
勝利とリーフの前に、シャドーの刺客・ダークナイトが姿を現す! ダークナイトは、リーフを捕まえるためにやってきたのだ。
勝利はリーフを守るために、ダークナイトとゼクロスデュエルを行う!
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★キーワード
【デュエルゼクロス(DZ)】【カードゲーム】【男主人公】【現代ファンタジー】
私の名前はリーフ。エルフの少女であり、魔法使いでもあるわ。
今、私たちが暮らす世界は、未曽有の危機に瀕しているわ。
ある日、「暗黒帝国シャドー」と名乗る集団が、この世界に突然現れたの。シャドーは、この世界の国々を侵略して、征服していったわ。
シャドーは、人間やエルフ・魔族などの各種族を、無差別に支配する。人々はシャドーに洗脳されて、帝国に取り込まれてしまったの。
私たち生き残りは、朽ちた砦に逃げ延びたわ。でも、ここにシャドーの魔の手が迫るのは、時間の問題ね。
「リーフ! 異世界転移の魔法陣が、完成したぞ!」
「異世界へ行き、シャドーを打ち倒せるデュエリストを探すのだ」
「わかりました。私は必ず、強いデュエリストを見つけてきます……!」
シャドーは、武器や魔法では倒せない。彼らを倒すには、カードゲーム「ゼクロス」によるデュエルで勝つしかないわ。
私は、シャドーを打ち倒せる強いデュエリストを探す。そのために、異世界転移するの。私たち魔法使いが、異世界転移の魔法陣を完成させたわ。
ドゴオオオオオオオオオオ!
轟音が響き渡り、砦が振動するわ。ついに、シャドーがここへ来てしまったのね。
私たちがいる部屋へ、シャドーの連中が足を踏み入れる。集団の先頭には、シャドー皇帝の「デストロ」がいるわ。赤い衣服を着た巨漢がデストロよ。
デストロが、口角を上げてニヤリと笑う。彼は私たちを追いつめて、さぞ気分が良いでしょうね。
「ククク! 追いつめたぞ、魔法使い共! 無駄な抵抗はやめて、我がシャドーの軍門に下るがよい!」
「リーフ! ここは我らが時間を稼ぐ。早く異世界転移するのだ!」
「クッ……! わかりました!」
仲間の魔法使いたちが、デストロに向かっていくわ。彼らの意志は、無駄にしない。
私は魔法陣を起動させて、異世界転移するわ……。
【高校生デュエリスト勇実勝利!】
俺の名前は、勇実勝利だ。戦場高等学校に通う、高校1年生だ。そして、ゼクロスデュエリストでもある。
俺は学校での授業を終えて、帰宅している途中だ。戦場町を、オレンジ色の夕日が照らしているな。
ぐ~……。
おっと。俺の腹が、音を鳴らしたぜ。この時間になると、どうしても腹が減る。
そうだ。今日は町の肉屋によって、コロッケを買って食べるか。あの店のコロッケは絶品だ。学校の生徒たちにも大人気。みんな、あの店のコロッケを買い食いしているぜ。
俺は肉屋へ行くために、ルートを変更する。町にある巨大な公園を、通り抜けることにする。
(んん? 公園の中で、誰かが倒れているぞ)
俺は公園内に、1人の少女が倒れているのを発見する。事故にあったか、それとも病気や体調不良か。とにかく、彼女を放っておくわけにはいかない。俺はすぐに、少女のもとへ駆け寄る。
「おい! アンタ、大丈夫か!?」
「ううぅ……。わ、私は大丈夫……。じゃないかも。異世界転移酔いしちゃったわ……」
少女は顔を上げて、俺に視線を向ける。キレイな少女だ。
彼女の髪は、黄緑色のロングヘア。その瞳は緑色で、宝石のように光り輝いているぜ。肌は雪のように白い。スレンダーな身体つきの美少女だ。
俺は彼女の姿を見て、違和感を覚える。彼女が着ている服は、白いローブのようだ。コスプレなのか。まるで、ゲームや漫画に出てくる魔法使いのようだ。
それに、彼女の耳は細長く尖っている。ファンタジー作品に出てくるエルフみてぇだな。この耳は、コスプレでは説明がつかないぜ。
俺は彼女のことが、すごく気になる。だが、彼女は具合が悪そうだ。とりあえず、公園のベンチに座らせて休ませるか。
「具合が悪いなら、公園のベンチで休んだ方が良い。1人で歩けるか? 無理そうなら、肩を貸すぜ」
「あ、ありがとう……。では、肩を貸してちょうだい」
「良いぜ! さあ、ゆっくり立ち上がるんだ」
俺は彼女に肩を貸しながら、ゆっくりと立ち上がらせる。ベンチはすぐ近くにあったので、助かるぜ。
俺は彼女をベンチに座らせる。そうだ。何か飲み物でも買った方が良いかな。
「アンタ、喉は乾いているか? 飲み物が欲しいなら、持ってくるぜ」
「ありがとう……。では、お水が欲しいわ」
「水だな。OK! すぐに買ってくるぜ」
俺は近くにある自動販売機で、ミネラルウォーターを買う。俺はペットボトルのフタを開けて、少女に手渡す。少女は、ペットボトルを不思議そうに見つめているな。少しして、少女は飲み口から水を飲み始める。
「んぐっ。ごくっ。ぷはぁ……。ありがとう。すごく、楽になったわ」
「それなら良かったぜ」
どうやら、彼女の体調は少し良くなったようだ。俺はホッと胸をなでおろす。
「助けてくれて、ありがとう。私の名前はリーフ。あなたの名前は?」
「俺の名前は勇実勝利だ。気軽に『勝利』と呼んでくれ」
「勝利。良い名前ね」
彼女の名前は、リーフというのか。少なくとも、彼女は日本人ではないようだ。リーフは旅行者かな。
「リーフ。そろそろ暗くなるから、俺が家まで送っていくよ。宿に泊まっているなら、そこまで送るぜ」
「気持ちはありがたいけど、私に行くあてはないの。なぜなら、私はこの世界とは異なる世界からやってきたのだから」
俺はリーフの言葉に、思わず面食らってしまう。彼女は、異世界からやってきたと言っているからな。
正直なところ、信じがたい話ではある。だが、彼女の容姿や表情を見るに、嘘を言っているようには見えない。
「そうか。行くあてがないのか。だけど、野宿するわけにはいかないだろ。リーフさえ良ければ、今晩はウチで泊っていくか?」
「申し出はありがたいけど、遠慮しておくわ。これ以上あなたに、迷惑をかけるわけにはいかない。それに、私と一緒にいると、あなたに危険がおよぶかもしれないわ」
「お前たちが心配することは、何もない。その小娘は、このオレがもらい受ける!」
突然、何者かが俺たちに声をかける。俺は声の主へ視線を向ける。
この場に、新たな人物が現れた。そいつは、漆黒の鎧を身にまとっている。顔は兜に覆われていて見えない。だが、声を聞く限り、男のようだ。
まるで、ゲームに出てくる暗黒騎士のような奴だな。少なくとも、この公園には似つかわしくない存在だぜ。
俺はリーフをかばうように、騎士の男と対峙する。
「アンタは何者だ? リーフの知り合いか?」
「オレは、暗黒帝国シャドーのダークナイトだ! そこにいる小娘を、渡してもらおうか」
「シャドーの追っ手……! もうこの世界まで来たのね」
リーフの声を聴く限り、この男は彼女の仲間ではないようだ。むしろ、敵対しているようだぜ。
俺は、リーフとダークナイトの事情を知らない。とりあえず、話を聴いてみるか。
「ダークナイトと言ったな。リーフを連れて、どうするつもりだ?」
「貴様に教えてやる理由はない」
「あー、そうかい。なら、リーフを渡すわけにはいかねえな!」
ダークナイトは、俺に事情を話すつもりはないらしい。それはつまり、後ろめたい何かを抱えているということだ。そんな奴に、弱っているリーフを渡すわけにはいかねえ。
ダークナイトは、何かを取り出したな。それは、俺にはなじみ深いものだ。ダークナイトは、カードゲーム「ゼクロス」のデッキを取り出した。コイツ、この見た目でデュエリストなのか。
だが、デュエリストなら話は早い。俺も懐から、ゼクロスのデッキを取り出す。俺はゼクロスデュエルの腕には、自信があるぜ。
「貴様をデュエルで倒して、その小娘をもらい受ける!」
「へっ! アンタはこの俺が、返り討ちにしてやるぜ!」
「勝利! 無茶はしないで!」
「安心しろリーフ! ゼクロスデュエルなら、必ず勝ってやるぜ!」




