表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

一度目の人生

 乙女ゲームとまったくしたことがない。

 だけど、投稿サイトにはまり、自分でも書いていた。

 いや、はずかし。

 だから、流行りものの婚約破棄&溺愛ものの大まかなあらすじも知っている。

 受ける要素として知識でため込んでいた。

 読もうとしたこともあったけど、ちょっと最初の1ページで断念。

 だって、つまらん。


 だけど内容は知ってる。

 大体の流れは一緒だから。

 書こうとしたこともあったけど、無理だった。

 なんかね。


 で、俺。


 どうやら、婚約破棄あーんど溺愛ものの世界に転生してしまったらしい。

 でもちゃんと読んだことなかったから、実際にある物語なのかはわからない。

 ただわかるのは、今、俺が危機的状況にあることだ。


 

 俺、この世界では男爵子息。

 えっと貴族では一番下のクラスね。

 んで、なんでこれが婚約破棄と溺愛ものの世界かって思ったのは、まず中世ヨーロッパ風なのに生活魔法がある。

 生活ね。

 水洗トイレもあるし、洗濯するために水魔法なんてものもある。

 勿論乾燥は風魔法、料理のための火魔法も存在する。

 もちろん、攻撃とかできる普通の魔法もあるんだけど、貴族しか使えない。

 貴族は魔力が高いらしい。

 そういう血をもっている。

 こういうもろもろの設定から、俺はこの世界は普通の異世界ではないと思った。

 ちなみに、俺の置かれている状況はまさに婚約破棄あーんど溺愛のざまあシーン。


 俺の役割は、ヒロインの元婚約者で、その妹と関係し、ヒロインとの婚約を破棄したゲス男。妹の夫として伯爵になれると思っていたが、継承権をもっているのはヒロインのみ。ヒロインの母が伯爵で、夫は俺みたいな男爵の身分だった。だから、後妻の子である妹は継承権を持っていない。


 だけど、何を勘違いしたのか、伯爵になれると信じていたんだよね。俺。

 っていうかヒロインの父、義母、異母妹、俺の家族もみんな勘違いしていた。

 ヒロインは苦労していいて、俺はわかっていたはずなのに妹の色気に惑われた馬鹿な男。


 おかげで今、妹と一緒にざまあされようとしている。


「そこの女、よくも私の妃を虐げてきたな。証拠はすべて上がっている。そこの男、お前も私の妃の元婚約者であり、虐待を知っておきながら何もしなかった。万死に値するといいたいところだが、妃の温情で炭鉱での労働に従事してもらうことにした。懸命に働き、己の行動を死ぬまで反省しろ」


 炭鉱、まじっつか。

 死ねって言っているようなもんじゃねーか!

 なんだよ。俺。

 なんで今思い出すんだよ。前世なんて。これから逆転なんて無理だ。

 元婚約者ってだけで、王子の奴めっちゃ睨んでるし。

 なんか余計なこと話したら、首飛びそう。

 ああ、こんなことなら、前世なんて思い出さなければよかった。


「殿下!どうか、どうか許してください。息子は知らなかったんです。お願いします!」

「母上!」


 お母さん、だめだよ。

 王子めっちゃ怒ってるから!

 発言許さてれてないのに! 

 やばいから!


「ジュード!ジュード!」


 お母さん、ごめん。

 妹の色気に騙された俺を許して。

 ちゅうか、俺、死にたくねぇ!

 いま目覚めたばっかだぞ。


「その者も炭鉱に一緒に送ってやれ!」


 ああ、なんてことだ。

 お母さんには罪はない。 

 まあ、頭は弱かったけど、罪はない!


「殿下!どうか、母に御温情を賜りたく。お願いします!」


 俺は動いたらやばいって知っていたけど、立ち上がって王子にすがった。


「無礼者!」


 そしたら護衛に頭を殴られ、そのまま視界が真っ暗になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ