↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーバークロック・ノア  作者: くじらちさと
ノアの胎動
16/57

section7『共振 -模擬戦と連携-』

未知の力《ノア》に目覚め、動き始めた真(まこと)の世界。

彼に与えられた次の課題は、“戦い”。

初めての実戦形式の訓練、そして、仲間との連携——。

その中で、彼は“他者との共鳴”の可能性を初めて体感する。

「じゃ、今日は模擬戦をやる」


神瀬(かんせ) 匡(きょう)の声に、空気がぴんと張り詰めた。


「まずは、真(まこと)と凪(なぎ)で一戦。ルールは簡単。どっちかが動けなくなるまで。ただし殺すな。ほどほどにな」


「……俺、そんなに手加減得意じゃないけどな」


白倉(しらくら) 凪が呟く。低く、冷えた声だった。


凪が広場の中央に歩み出る。鋭い眼光が、まっすぐこちらを射抜いてくる。


(やるしかない——)


俺も向かい合う形で立つ。神瀬の「始め」の合図とともに、凪が動いた。


速い——!


足元に冷気が走る。気づいた時には、地面が凍っていた。


一歩踏み出そうとした瞬間、俺の靴裏が滑った。凪が投げた氷の刃が、わずかに横をかすめる。


(ヤバい……っ!)


《ミロク》が反応した。視界の中に、“凪の動きの未来”が浮かぶ。光のような軌跡が、複数重なって見えた。


(どっちだ? どこに来る……!?)


凪は俺の“読み”を読み返して動いている。ミロクの指し示す軌跡は複数あり、そこから「本命」を絞らなければいけない。


すべての選択がワンテンポ遅れれば、即アウトだ。


「反応だけじゃ、生き残れねえぞ」


言いながら、凪の手が地面に触れる。そこから一気に“氷柱”が湧き上がった。


——《クライオスフィア》。


空気中の水分を凍らせ、自在に操るアーカ。冷気は制圧、凍結、拘束、果ては粉砕まで可能な応用範囲を持つ。


俺は視界に灯った“赤い点”の先を読んで跳ぶ。


ギリギリで避けた。けど、身体が追いつかない。視えても、動けない。


「終了。ここまでだ」


神瀬が手を打って、空気を断った。


凪は一歩引き、軽く息をついた。


「ま、最初ならこんなもんだろ」


冷静な声の中に、わずかに熱が宿っていた。


「次は、共闘だ。相手は——俺」


神瀬が前に出る。


「真、凪。二人でかかってこい」


「えっ」


「いやいや、それは無理……」


「来ないなら、今すぐ潰す」


その言葉に空気が変わった。


一歩、神瀬が前に出ただけで、周囲の気圧が下がる。


「動け!」


凪が叫ぶ。即座に俺の視界が反応する。


(くる!)


神瀬の動きが——見えた。足の角度、重心、次に動く腕の形。すべてがミロクに捉えられる。


「凪、2時方向、斜め上に攻撃!」


凪が反応し、氷の槍を放つ。神瀬はそれを“読むように”かわし、笑った。


「指示は悪くない」


次の瞬間、背後に神瀬の気配——


「下がれ、真!」


凪が飛び込んできて、俺の肩を掴んで引く。


——氷が地面に一斉に走る。広範囲凍結。


神瀬がひるんだその隙に、俺は未来を“もう一手”先まで読む。


(次に左足が動く。肘を振る。空気が撓む。——ここだ!)


「今だ、凪! こっちに誘導!」


俺が動き、凪が氷を叩き込む。二人の行動が、ピタリと噛み合った。


神瀬が一歩下がり、手を上げる。


「合格。最初にしては上出来だ」


凪は肩で息をしながら、小さく笑う。


「……少しはやるじゃん」


「……お前もな」


わずかに視線が交差した。


たぶんそれは、“戦友”と呼ぶにはまだ早い。


けど、確かに——“何か”が生まれ始めていた。

ただ力を使うだけでは、生き残れない。

“信頼”と“連携”があってこそ、戦いの中で生まれる“勝機”。

白倉凪との初めての共闘を経て、真はようやく“孤独じゃない戦い”を知る。

それはきっと、これから訪れる異世界での戦いにも繋がっていく──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。